ウクライナの“義足ランナー”、東京マラソンに挑戦 勇気でつないだ 42.195キロ 「最後まで戦うことを見せたかった」『every.特集』
■ユーリさん「モチベーションは重要」
同じくロシア軍との戦闘で義足となったユーリさんは、ロマンさんとともに、東京マラソンに初めて参加。制限時間の7時間以内でゴールを目指しました。 ユーリさん 「手足を失った人の痛みが私にはよく分かります。彼らのこれからの人生、モチベーションは本当に重要です。障害とは、私たちが受け入れることのできる挑戦なんです」 初めて見る東京の景色。ユーリさんは両手を広げ、「とても楽しい! 最高の雰囲気だね」「アリガトウ」と話しました。
■日本人ランナー「勇気もらう人も」
ロマンさんも「オー、スカイツリー!」と東京のランドマークを楽しみました。後半、次第にきつくなってきましたが、勇気づけられる場面がありました。 日本人ランナーにウクライナ語で「スラーバウクライーニ(ウクライナに栄光あれ)」と励まされました。また、2人が走ることを知ってウクライナ国旗を持って応援にかけつけてくれた人たちもいました。 「給水所が僕のためにたくさんあるよ」と冗談めかして言うロマンさん。水分補給し、「ゴールに向かおう!」と自らを奮い立たせます。義足で一歩一歩。その姿は、他のランナーも勇気づけていました。 日本人ランナー 「走っている姿を見て勇気をもらっている人もいると思うので、自分も頑張らなきゃと思います。一日でも早い平和を願っています」
■国旗を背負い、最後の力を振り絞る
37キロ付近で待っていたのは、ウクライナの応援団でした。今回の侵攻で日本に避難してきた人たちの姿もありました。歓声を浴びたロマンさんは国旗を頭上に掲げて応え、タッチしたりキスしたり。 ウクライナから避難してきた少年(11) 「ウクライナのランナーをずっと待っていたんだ。会えてうれしかった。いつか僕が走るときは今日のことを思い出すよ」 残り2キロの地点で、ロマンさんは義足の右足をかばいながら苦しそうな表情を浮かべました。ウクライナの旗を背負い、「ウクライナに栄光あれ」と声を上げ、最後の力を振り絞って走ります。
■ロマンさん「負傷者を励ませたと思う」
そして迎えた「フィニッシュ!」。42.195 キロを義足で走り抜きました。ロマンさんの第一声は「楽勝だったよ! 自己ベストだ!」。記録は4時間50分。自己ベストを1時間も更新しました。 ロマンさん 「自分がマラソンを走ることで負傷者を励ませたと思う」