過疎こそチャンス?「住民1000人」の京都・笠置町長に聞く、人口減少を逆手に取った戦略とは
■コミュニティーを維持する「面識経済」とは
山本町長は「人口減少を急激に止めるのは、正直なところ無理だと思っている。最低でも現状維持だ」と本音を明かし、「住民の人口を増やすというよりも、“関係人口”を増やす方が、もっと町のためになるのではないかと思っている」との見方を示す。 山崎氏は「人口規模が違う自治体の首長が、全部同じ役割ではない。人口100万人の市長と、人口1000人の町長が、同じことをやる必要もない」として、「人口1000人は大きな親族のような感じだ」と評する。 笠置町の生き残り策として山崎氏は、人口10万人の自治体と根本的に異なるため、「大きな親族一同」をまとめていく感覚で、コミュニティーで価値観を共有できる規模において、「面識経済」で経済を回す方向性を提案する。 面識経済とは「顔が見える関係にある人たちと、やりとりをする」ことを指し、「まず顔見知りから買うことを考えてみようという経済を、もう一度見直してみたらどうだろうか」とアドバイスする。 山本町長は「食料品は笠置町内でほとんど売っていないので、隣町に車で買いに行っている」と説明する。これに山崎氏は「共同売店」を参考例として紹介し、「100年前に沖縄で誕生した。店がないので、地域の人が一緒になって店を始めた」と説明した。
■「子供たちがこの街で住んでいきたいと思えるかが最後の砦」
いま町長として取り組みたいのは、「子育て」の政策だという。「他自治体から来てもいいが、笠置町で子供が育つことで、町が続く未来への投資になる。町で育った人が出ていっても、戻ってこれる仕掛けづくりも必要だ」と目標を語る。 山崎氏は「“消滅可能性自治体”は、役場がなくなるかどうかの話で、仮に役場がなくなっても地域は当然残る」といい、「役場が合併しなくても、一部事務組合などが広域事業で水道などのインフラをととのえられる。むしろ流域単位で上下水道をやった方が、効率が良いこともある」として、自治体の存続と住民生活はイコールでないと解説する。 そして、「水道事業をそれぞれの役場でやらず、複数の自治体で1つにする。合併せずにインフラを統一する方法は、すでにアメリカやドイツでも行われている」といった状況に触れつつ、「子供たちがこの街で住んでいきたいと思えるかが最後の砦だ」とまとめた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部