育休入ったら学童退所 戸惑う3児の母、上の子帰宅で寝付かずイライラ…「何でこんなに大変なの?」 親も子も追い詰められる現状
自治体によって受け入れ状況に差
「育休に入ったら、小学生の長女の学童保育(放課後児童クラブ)を退所するように言われてしまいました」―。長野県長野市で3人の子どもを育てる30代女性が本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に戸惑いの声を寄せた。未就学児は親の就労に関係なく子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」の議論が進むのに、「小学校に上がると何で子も親も大変なままなんだろう」。女性の声を受けて県内19市に取材してみると、受け入れ状況に差があることも分かった。 【表】保育園の「育休退園」も自治体によって差
女性は今年、第3子となる次女を出産。小学校低学年の長女は学童保育を利用していたが、女性の産休が明け育休に切り替わるタイミングで学童保育側から利用中止を促され、8月から利用をやめた。
頼る先なく「放課後の数時間で全然違うのに…」
朝5時に起きて次女に授乳し、小学校に長女、保育園に長男を送り出す。日中は家事や次女の世話に追われ、やっと昼寝の寝かしつけに成功したかと思ったところ、午後3時ごろに長女が帰宅。物音で次女が起きて泣き出すと「つい、いらいらしてしまう」。夫は仕事で帰りが遅い日が多く、両親は遠方で頼れない。「放課後に数時間、長女を預かってもらえるだけで(負担感が)全然違うのですが…」と話す。
大半が育休中は原則利用中止
学童保育の利用条件は市町村がそれぞれ決めており、大半が就労などで親が不在の「留守家庭」の子どもが対象だ。県内19市に取材すると、産前産後の数カ月は利用を可能とする市もあったが、ほとんどが「育休で親が在宅している家庭は『留守家庭』に当たらず、原則利用は中止となる」と説明。病気などの事情や施設の空き状況によっては対応するとしている。
「赤ちゃんの世話は大変」ルール改めた市も
岡谷市は本年度から、育休中も利用できるように改めた。市の担当者は「留守家庭が基本ではあるが、育休中も赤ちゃんの世話で大変だから」と話す。飯山市は「受け入れ状況に余裕があり、誰でも利用できる状況」。民設民営の2カ所がある佐久市も誰でも利用できるという。
施設の確保が間に合わず
長野市は、小学校53校区のうち4校区(湯谷、徳間、古牧、篠ノ井東)以外は誰でも利用できる。子育て世帯に人気の4校区は施設の確保が間に合わず、留守家庭以外は原則利用を中止してもらっているという。女性が住んでいるのは4校区のうちの一つだった。