「町」の読み方、「ちょう」か「まち」か…なぜ分かれる? 福井県立大学の学生が解明へ始動
自治体の「町」の読み方が西日本は「ちょう」、東日本は「まち」と読む傾向にあると紹介した福井新聞の記事をきっかけに、福井県立大学の学生たちが、福井・石川県境を分岐点に東西で分かれる理由を調査するプロジェクトを始めた。11月20日に初会合があり、本紙記者から執筆の経緯や取材した成果の説明を受け、今後の活動について意見交換。“学生記者”として、地域住民への取材や文献調査を行うことを決めた。 【デジタルマップ】「ちょう」「まち」読みの全国分布図 福井県は8町全て「ちょう」と読むが、石川は「まち」が大半を占める。なぜ「町」の読み方が分かれるのかは、専門家や学芸員らも首をひねる難題だ。本紙は地理情報システム(GIS)を活用して「ちょう」と「まち」で色分けした全国のデジタルマップを制作し、今年5月に紙面で紹介した。 掲載後、読者からは「三国町(ちょう)出身だが、母親が『みくにまち』と住所を書いた約45年前のキーホルダーが今もある。昔は『まち』と言っていたのかも」「昔の藩の影響では」「方言との関連も考えられる」などと情報が寄せられた。 深掘りすれば“謎”の解明につながるのでは、とGISが専門の県立大地域経済研究所の青木和人教授と本紙記者が連携。青木教授が「ちょうまち大調査!プロジェクト」として学生に参加を募ったところ、1~2年生11人が集まった。 初会合は同研究所であり、参加した学生5人は「福井に来て方言の違いに興味を持った」「福岡県出身だが、西日本は『ちょう』が多い中で福岡は『まち』が多いのが気になった」「地理に興味がありフィールドワークをしてみたい」などと抱負を語った。取材した記者はデジタルマップを示し、「市町への取材や文献調査を進めたが、読み方が異なる理由は分からなかった」と話すと、学生たちは「県境付近の住民に聞き込みをしよう」「昔の子ども向け教科書など文献を調べてみたい」などとアイデアを膨らませた。 青木教授は「各地の住民と交流しながら昭和以前の『町』の読み方を分析していきたい。学生にとって当時の生活状況や文化の変遷を学ぶ機会にもつながれば」と話している。今後は、福井新聞記者から取材の方法を学ぶ研修なども予定している。
福井新聞社