海自「空前の水上戦闘艦」のスゴさが見えてきた “世界最強のフネ”に? 最新の“千里眼レーダー”とは
最大の目玉は「千里眼レーダー」
そんなイージス・システム搭載艦には、さまざまな最新鋭装備が搭載される予定です。 たとえば電子戦装置については、アメリカ海軍でも配備が進んでいる新型の「SEWIP(Suface Electronic Warfare Improvment Program、水上艦電子戦装置改良計画)ブロック2」、AN/SLQ-32(V)6が搭載されます。これは、接近するミサイルなどが発する電波を探知し、それを識別したうえで脅威評価などを行う最新のシステムで、アメリカ以外の国の艦艇がこれを装備するのは初めてとなります。 そして、なにより注目なのが搭載レーダーの「SPY-7(V)1」です。SPY-7は、もともとイージス・アショア用に購入された最新鋭のSバンドレーダーで、開発および製造はアメリカの大手防衛関連企業であるロッキード・マーチン社が行っています。 SPY-7は、「サブアレイ・スイート」と呼ばれる小さなレーダー装置を組み合わせることで、一つの大きなレーダーを構成します。そのため、搭載する艦艇のサイズや運用者のニーズに合わせて、そのサイズを自在に変更できます。 また、レーダーを稼働中でも、背面からサブアレイ・スイートを交換することで故障に対応する「ホットスワップ」が可能であるなど、メンテナンス面でも優れた特徴を有しています。 さらに、現在イージス艦に搭載されているSPY-1Dレーダーと比較して、探知距離は3.3倍向上しているとのこと。SPY-1Dの探知距離は約500km程度とされているため、SPY-7は約1600km先の目標を探知できることになります。 加えて、SPY-7では水平方向に送信される水平偏波と、垂直方向に送信される垂直偏波を同時に送受信する「二重偏波レーダー技術」を用いており、探知した目標の形状を正確に捉えることができます。これにより、弾道ミサイルの囮(おとり)弾頭と真弾頭を見極めることも可能です。 これらの先進的な装備を有するイージス・システム搭載艦は、まさに「世界最強の水上艦艇」の1隻といっても過言ではないでしょう。
稲葉義泰(軍事ライター)