清原正吾に独立リーグからオファー殺到も… なぜ社会人野球チームは「敬遠」するのか
■独立球団監督は「清原はバケモノですよ」 強肩と俊足が武器で、2021年に盗塁王のタイトルを獲得した和田は、高校の時に野球部に所属しておらず、公式のクラブチームでプレーしていた。増田は近大に進学したが2年冬に中退。故郷の徳島に戻りとび職についたが、野球をあきらめきれず独立リーグ・徳島に入団。2年間プレーし、巨人に育成ドラフト1位で指名された。岸は明徳義塾の時に甲子園に4度出場するなど、投打の中心選手として活躍したが、拓大で右肩や肘を故障して3年秋に中退。一度は野球を辞めることを決断したが、家族や周囲の勧めで独立リーグ・徳島に入団。俊足巧打のプレースタイルが評価され、西武にドラフト8位で入団した。様々な人生を歩んでいる選手たちが集まるのも、独立リーグの魅力だ。 和田や増田、岸のように、独立リーグ出身でNPB入りする選手はスピードを武器にするタイプが多い。パワーヒッターはなかなか指名されず、プロ入りしても大成するケースが少ない。 だが、清原に獲得オファーを送った独立リーグ球団の監督は「清原に限っては過去のサンプルが当てはまりにくい」と指摘する。 「彼は大学から本格的に野球を始めたばかり。経験値で言えば、中学、高校生に近い。まだ野球のイロハのイを学んでいる段階なのに、六大学のリーグ戦でバックスクリーンにホームランを叩きこむ。素質だけで言えばバケモノですよ。体の線が細いので、鍛えて実戦で経験を積めばコンタクト能力が上がるし、打球速度も上がって飛距離が伸びる。ここで野球を辞めるのはもったいない。NPB入りを目指すなら、もう1、2年本気で野球に打ち込んでほしいですね」 十人十色の野球人生がある。異色の野球歴を歩んできた清原は、この分岐点でどのような決断を下すだろうか。 (今川秀悟)
今川秀悟