【ホープフルS】スーパー攻め専のお墨付き!進化したジョバンニが〝2着〟の呪縛から解き放たれる
[GⅠホープフルステークス=2024年12月28日(土曜)2歳、中山競馬場・芝内2000メートル] 今週末の中山競馬場で行われるのはJRAの2024年ラストGⅠホープフルS(28日=芝内2000メートル)。キャリアの浅い2歳GⅠだけに無敗馬に目が行きがちだが、だからといって“非無敗馬”が力で劣るわけでもない。栗東トレセンを駆け回る事情通・難波田忠雄記者のアンテナに引っかかったのはジョバンニ。ヒントとなったのは15年前のあの議員の言葉だった――。 09年の旧民主党政権時代に国家予算の無駄を見直す「事業仕分け」が行われた。その時に仕分け人として注目を集めたのが「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言した蓮舫参議院議員(当時)。世界一を目指すスーパーコンピューター「京」の開発費がやり玉に挙がり、その後の予算編成がどうなったかは分からないが「2位じゃダメなんでしょうか?」は強烈なインパクトとして残っていて当方も関係者へ翌週に「(馬券が)2位(着)じゃダメなんです」とよく言ったものである。 15年ほど前の蓮舫氏の“名言”を今さら思い出させたのは「2着じゃダメなんです」という関係者の言葉だ。その声の主はホープフルSに出走するジョバンニの大久保助手。「2走続けて2着。名前の最後に“ニ”が付いているからなんかな…。“イチ”に変えたいわ」と苦笑いだ。
激戦の疲れは皆無
小倉の新馬戦はバズアップビート、ダノンシーマといった良血馬を負かして快勝したが、続く野路菊S、京都2歳Sはいずれもエリキングに敗れて連続のジョバン“2”に。それでも「もともとスタートは遅いんだけど、二の脚は速い馬なのに前走はダッシュがつかずにエリキングよりも後ろからの競馬になってしまった。そんな形でも最後は詰め寄ってきたし、力は見せてくれたんだけどね。2着続きだけど、どんな競馬もできるのは強み」と大久保助手は力負けではないことを強調し、クラシック有力候補だったエリキング(骨折で戦線離脱)に迫った前走の京都2歳Sを高く評価する。 前走後は短期放牧を挟んだが1週前追いはウッドで松山を背に馬なりのまま6ハロン81・2―11・6秒をマークして激戦の疲れは皆無だ。「1週前追いに乗ってくれた松山君が『すごく乗りやすくなっている』と言ってくれた。もともと頭の高い走法で上へ逃げるところがあったけど、口向きを修正したことでそれが改善されている」。大久保助手はこの中間の操縦性の進化をアピールしつつ「これまで少頭数、スローの経験しかないのがどうかだけど、3走いずれも違うコースで結果を出していて初の中山も問題ないし、馬混みでの競馬も大丈夫」と、この中間で操作性が高まって進化を遂げていると話す。 杉山晴厩舎といえば、走る馬にはスーパー攻め専こと山本助手が乗っていることが多いもの。今回はあえて大きくはクローズアップしなかったがジョバンニにもこの中間から同助手がまたがって、口向きなど細かい修正すべき部分をアッサリとクリアさせた点は見逃せない。「オープン馬の背中をしている。ドッシリしていて安定感がある。GⅠでもいい勝負ができると思う」とスーパー攻め専からもお墨付きが出ただけに、ジョバンニが2着の呪縛から解き放たれてジョバン“イチ”になってGⅠ戴冠となるはずだ。
難波田 忠雄