住民投票の意義は?新庁舎移転先巡り約1600万円を投じて実施 新市長の案は採用されず…現行案は増額に【大分発】
大分県内で21年ぶりに実施された「住民投票」。大分県津久見市の市役所の移転先を問うもので約1600万円の税金が使われた。新しい市長は「中学校の跡地などを活用するA案」を提案したが、市民の選択は当初の計画「港の埋め立て地に建設するB案」だった。投票の結果を受けて、市が提案したB案の費用は資材高騰などで当初よりも約1億2000万円増額に。住民投票の意義とは。各方面の反応などを取材した。 【画像】住民投票の意義は?新庁舎移転先を巡り約1600万円を投じて実施 新市長の案は採用されず、現行案は増額に
新庁舎移転先を巡り 市では初めての住民投票
4月21日、大分県津久見市で行われた老朽化した市役所の移転先を問う住民投票。 市民に問われたのは、新たに就任した石川正史津久見市長が提案した「閉校した第二中学校などを活用するA案」か、すでに計画されていた「津久見港の埋め立て地に建設するB案」か、どちらにすべきかということ。 開票の結果、「中学校活用(A案)」は2669票で、「港の埋め立て地(B案)」が5770票で賛成多数。また、投票率は63.13%で成立要件の半数を超えた。 開票後の会見で、石川正史津久見市長は 「これまで市民の間でくすぶっていた案件の方向性が出たというところが大きいと思う。私が提案した第二中学校の案が多くの人に賛同してもらえなかったところは残念と思っている」と述べた。 一方、もともとの「埋め立て地案」を支持してきた津久見市議会の黒木章三議長は 「私たちは以前から市長に対して、埋め立て地の方が最適地と進言してきたつもりだが理解してもらえなかったことが今回の住民投票に繋がった。市長には速やかに進めてもらいたい」と話した。
港の埋め立て地案では 「津波のリスク」が争点に
賛成多数となった新庁舎の建設予定地は港のそばに位置する。高い建物が少ない市の中心部で新庁舎が津波避難ビルとしての役割も担う予定である。 埋め立て地案では、利便性が高い一方、津波のリスクが争点となっていた。 計画では、想定される浸水の深さよりも高い2階以上に庁舎の機能を置く予定だという。 住民投票では市民から「埋め立て地案はいいんじゃないかと思う。にぎわいのために活性化するのでは」「どっちでもいいという感じがするけど反対。市役所を作ること自体がもったいない」「海が近いからちょっと危ないかなと不安はあったが、埋め立て地案の方は地震対策に沿って作るだろうからいいんじゃないか」といった様々な声が聞かれた