ただの責任逃れ?何のための報告? やたら「報連相」をする人に伝えたい上司の偽らざる本音
その日も同様に、A部長に時間を取ってもらい、ひと通りの説明をしました。すると、A部長から返ってきたのは意外な言葉だったといいます。 「Kさんは、自分がラクになりたくて私に説明しているの?」 Kさんは確かに、「仕事にはホウレンソウが重要」「A部長も、進行を把握しておきたいはず」と考えていました。しかし、部長からの意外な言葉によって、心の奥底にある違う感情に気づかされたといいます。それは「責任を回避したい」という気持ちです。
つまり、A部長に報告をしておくことで、何か問題が起こったときに、「A部長がOKと言ったから」と言える逃げ道をつくっておいたということ。この逃げの姿勢を、A部長に見透かされてしまったわけです。 相手の立場を考えなければ、どれだけホウレンソウをしても、それは結局、自分のため、もっと言えば保身のためのものになってしまいます。 ■「報告」を上司の立場で考える では、Kさんは、ホウレンソウをどのように行えばよかったのでしょうか。
最悪の選択肢は、「ならば勝手に進めてしまって、あとで報告すれば大丈夫だろう」と安易に判断して、独断で進めてしまうパターンです。何については確認が必要で、何については自分の責任で進めていいのかという判断は、部下の立場で行えるものではありません。 では、どうするか。それは、責任回避のための言い方ではなく、忙しいA部長の立場を慮り、責任は自分で取る姿勢を示すことなのだと思います。 具体的には、「この仕事はこういう考えで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか」などの形です。
あるいは、仮に書類の誤字を指摘されたとしても、指摘されたところだけをささっと直して「確認してください」と上司のところに持っていくのではなく、他にも誤字や修正の必要のあるところがないかを自分で見直してから「誤字を見直しましたので、最終チェックをお願いします」と持っていったり、「誤字以外にお気づきの点がないようでしたら、こちらで進めてよろしいですか?」と進めたりするような態度です。 上司という立場、あるいは先生と呼ばれる立場になると、周囲から「確認してください」と言われることが多くあります。しかし、それは本当にその人が確認しなければならないものなのでしょうか。もしかしたら確認を頼んだ当人が、自分ですべき判断を避けているのかもしれません。