「最近の関東圏で市民への人権侵害が頻発している」 “行政による人権侵害を考える会・関東”が発足
「社会に埋め込まれた差別」の再生産
宮﨑氏は、イギリスやアメリカなどで研究が発達している「制度的レイシズム」に関する理論に基づきながら、「行政の判断によって『社会に埋め込まれた差別』が再生産される」と解説した。 「行政による人権侵害は、本来なら平等である人々に『線引き』をする行為。 たとえば朝鮮学校の補助金停止は、直接的には金銭の問題に思えるかもしれないが、一般市民に対して『在日朝鮮人は自分たちとは異なった人間だ』『自分たちの社会とは外側にいる存在だ』などのメッセージを発する効果がある。 行政の判断によって、一般市民たちの間で、差別的な感情や行動が強まってしまう。『補助金を停止されるのだから、在日朝鮮人には問題があるはずだ』などの考え方を市民に抱かせる結果をもたらす」(宮﨑氏) 飯山氏も「行政や自治体の首長などの『上』が過去の事件や少数派に対する差別の問題を否認することで、一般市民たちによる『下』からの差別も深刻になる。まずは、『上』に差別の問題を認めさせることが重要だ」と語った。
相模原市「人権尊重のまちづくり条例」に関して抗議集会を予定
相模原市の「人権尊重のまちづくり条例」では、当初は「ヘイトスピーチへの罰則(50万円以下の罰金)」や「独立性の高い人権委員会の設置」などの条項が予定されていたが、実際に制定された条例には盛り込まれず。 また、条例には「不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)の解消」が含まれているが、その対象は「本邦外出身者」に限定されている。相模原市では2016年に障害者施設「やまゆり園」での殺傷事件が起きたこともあり、当初は障害や性別・ジェンダーなどに関わるヘイトスピーチを包括的に禁止することが期待されていた。 「行政による人権侵害を考える会・関東」は、今後、条例案に関する抗議集会を行うことを計画しているという。 「ただし、特定の問題に取り組むことは、会の目的ではない。 人権侵害が関わるさまざまな問題について、それぞれに活動や表現を行ってきた個々人がつながることのできる会にしたいと思っている」(飯山氏)
弁護士JP編集部