創業60周年超えのサンリオ 「いちご新聞」編集長時代に確信したキャラとファンの関係性
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2024年12月30日-2025年1月6日合併号にはサンリオ サンリオ展、ハローキティ展 担当者 高桑秀樹さんが登場した。 【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙フォトギャラリーはこちら * * * 2021年から全国14会場で開催し、来館者数が60万人を超えた、サンリオ創業60周年の「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化 60年史」の企画・監修を手がけた。 企画ができたのは、月刊紙「いちご新聞」の編集長を95年から18年間務めてきた経験が大きいと話す。 インターネットの普及がない時代、いちご新聞はファンとキャラクターを繋ぐ役割を果たしていた。 新聞の編集者は「お姉さん」と呼ばれ、ファンや子どもたちからたくさんの手紙が送られてきた。読者の声を反映した、一方通行ではない記事づくりを大事にしてきた。 いちご新聞には、子どものかけ込み寺のような側面もあった。学校での悩みや、友達に相談できないことをお姉さんに聞いてもらいたいと、編集部に電話がかかってくることも多かった。ただ話を聞くだけで、受話器の向こう側にいる子どもの声が落ち着いていくのが感じ取れた。サンリオのキャラクターたちは、ファンの心に寄り添い共に歩んでいくことが大事だと確信した。 編集の仕事はつらいことが多かったが、月に16万部発行することもあったほど人気で、ファンの待ちわびる声や喜ぶ姿にやりがいを感じた。 15年頃から、百貨店で小さな展示会を開催することがポツポツと増えてきた。監修で関わった際に、自分も企画したいと思いついた。 入社当初は商品部でデザイナーが苦労してデザイン画を仕上げ、商品化されていくことを学んだ。その後は編集長として、サンリオの歴史や、キティがカワイイ文化として花開き、世界へと広がっていく経緯を目の当たりに。 誰も知らないようなキャラクターのことまで知っているなど、自分には引き出しが多いことに気付いた。それをファンに見せたいという思いは募り、異動を願った。展示会の規模を徐々に大きくしていき、夢だった美術館での開催も実現させた。 そして24年、ハローキティの50周年を記念した「Hello Kitty展 -わたしが変わるとキティも変わる-」が、東京国立博物館で開催中だ(25年2月24日まで)。 今後の目標は、日本が誇るカワイイ文化を世界に広めること。大英博物館での企画展など、その夢は大きい。(ライター・米澤伸子) ※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号
米澤伸子