【まとめ記事】大学のキャンパス移転ラッシュ 立地によって学生生活はどう変わる?
学部・学科の改組などに伴い、キャンパスを移転する大学が増えています。大きな流れは都市部への移転ですが、都会から離れた地方にキャンパスがありながら、都心部から志願者を集める大学もあります。受験生にとっては、どのようなキャンパス環境を選ぶかで、学びの中身や放課後の過ごし方も変わってきます。キャンパス移転の話題を中心に、大学のキャンパスについてまとめました。(写真=神奈川大学みなとみらいキャンパス、神奈川大学提供) 【写真】「地域との連携」により、研究室の学生同士だけでなく、地域の人々との交流も生まれている(写真=立命館大学提供)
1.増える都市部へのキャンパス移転
大学キャンパスを移転・再編し、学部・学科の新設・再編を絡める動きが相次いでいます。大きな特徴は「都心回帰」です。郊外型のキャンパスから、大きな駅に近い、都会の中のキャンパスへと移る例が多く見られます。 こうした動きの背景には、少子化が進むなかでも志願者を獲得するため、通学の利便性の良い土地を求める流れがあります。しかし、それにとどまらず、移転に伴ってキャンパスを産学連携や地域連携(住民とともに地域の課題解決に取り組む活動)の拠点にしたり、地方創生の起爆剤となるように地域づくりの計画に組み込んだりと、大学と社会の関わり方にも変化がみられます。
2.「地域との連携」で地域から大学へ
文部科学省や総務省の後押しもあり、この10年ほどで広まった大学の取り組みの一つに、「地域との連携」があります。従来は学生が「大学から地域へ」と飛び出して、地域の人と触れ合う事例が主流でした。それが最近はキャンパスの移転・再編を契機に、地域住民や企業が「地域から大学へ」入ってくるという新たな動きが広がり始めています。 例えば、神奈川大学が2021年にオープンしたみなとみらいキャンパス(横浜市西区)は、街に広く開かれ、一般の人々も利⽤可能な施設があります。また「地域・社会から大学へ」の姿勢を強く打ち出しているのが、立命館大学の大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)です。24年4月に情報理工学部と映像学部を移転したことで、学生数約1万人規模の大キャンパスになりました。15年の開設時から「地域・社会連携」を教学コンセプトの一つに掲げてきましたが、2学部の移転に合わせて新しい教室棟や施設などもつくり、地域・社会に開かれたキャンパスを強くアピールしています。