◆「確認できない」という軍のあいまいな対応の実益は 緊張緩和よりは強硬対応に傍点を打つような韓国政府の対応に対する懸念もある。 北朝鮮外務省の発表後、韓国政府は当初、状況を把握して「事実でない」「確認することはできない」という２つの立場を検討したという。結果的に戦略コミュニケーション（ＳＣ）が後者に決まったのは、北朝鮮の意図に巻き込まれるという懸念のためだった。政府関係者は「事実関係をめぐり北と真実攻防をすると、韓国内の葛藤が深まるかもしれないという意見が提示された」と説明した。 申源湜室長も放送で「確認すること自体が北が望む我々の内部葛藤を引き起こす」とし「経験に基づくと、最も良い最高の正答は無視」と述べた。 軍当局はあいまい性を通じて北朝鮮の対応に混乱を招く一種の「心理戦」効果を狙ったという立場だ。しかし真偽はともなく北朝鮮が今回の事件を南北関係断絶を通じた「敵対的な二つの国家論」に正当性を付与したり、挑発の口実として活用したりすることが自明である中、こうした対応はむしろ北朝鮮を過度に刺激する可能性もある。 統一研究院のホン・ミン研究委員は「あいまいな態度にともなう副作用を考える必要がある」とし「北が『政府主犯論』を引き続き提起する場合、内外で困難な状況を迎えることもある」と憂慮した。 韓国政府は「北は自殺を決心しない限り戦争を起こすことはできない」（申源湜室長）、「北がわが国民の安全に危害を加えれば、その日は北の政権の終末になる」（国防部の立場）と明らかにするなど、今後も強硬な立場を続ける雰囲気だ。抑止力を強調する側面だが、一部では危機管理努力に対する指摘も出ている。 慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「南北双方が現在のように歴代級の対決姿勢を維持する場合、軍事的衝突も懸念される」と指摘した。 ◆北のゴミ風船にＧＰＳ搭載 一方、軍当局はこの日、北朝鮮がこれまで飛ばしたゴミ風船の一部に衛星利用測位システム（ＧＰＳ）が搭載されていると明らかにした。軍関係者は「遠隔操縦や誘導目的でなくＧＰＳに移動経路に関する情報を蓄積するとみられる」と話した。 特定の風向きでの風船の動きを予測できれば、発熱タイマーの作動時間を調整して望む地点で風船を破裂させるのが容易になるだけに軍はさまざまな可能性について追加の分析を進めている。