金魚伝来の道のりたどり、「人のぬくもりを感じた」 440キロリレーでつないでゴール
奈良県大和郡山市が市制70周年と金魚伝来300年を記念し、山梨県甲府市から金魚が持ち込まれた道をたどる「金魚旅」は、3日に大和郡山市の郡山城跡でフィナーレを迎えた。参加者は金魚を模したそろいの真っ赤な法被を着て、約440キロの道のりを11区間に分けてリレー形式で歩き、300年前の金魚伝来の道を再現した。 享保9(1724)年、甲府藩主だった柳沢吉里が郡山藩へ国替えする際、5286人の従者を伴って約440キロを歩き、金魚を持ち込んだとされる。 参加者は先月23日に山梨県甲府市をスタート。市関係者や一般参加者ら17~79歳の72人が参加し、11区間に分けて6人一組が約40キロずつを歩いた。道中では、長野県木祖村や同県大桑村の道の駅で買い物客らに金魚すくい体験を行ってもらうなど、「郡山の金魚」をPRした。 3日に郡山城跡内の郡山城情報館で到着式が開催され、各区間のリーダーがそれぞれコメントを発表した。 第1区と第11区を歩いた運営委員長の自営業、小柳和也さん(49)は「誰一人脱落することなく、無事に歩き通せた。天気との戦いでした」と笑顔。第11区を歩いている際は、警報が出るほどの大雨となった。雨水が小さな川から氾濫する様子を眺めながら、メンバー6人は伴走していたサポートカーに避難をしながらも歩き続けた。 最年少の国立奈良工業高等専門学校2年の高辻月見さん(17)は「後半は足の感覚がなくなり辛かったが、大和郡山市の看板が見えたときは涙がこぼれそうになった。同じ区間のメンバーで励まし合ったり、道行く人の声援を聞いたりと人のぬくもりを感じる旅となった」と笑顔。最高齢の高島勇夫さん(79)は「若い人と交流できたことは何よりうれしかった。最高の気分です」と満面の笑みでゴールテープを切った。 参加者とともに第1区の前半を歩いた上田清市長は「温かな声援をいただきながらのスタートだった。参加者は柳沢公による甲府から大和郡山までの過去の旅を経験したが、この旅を通して見えたつながりを市の未来の希望へとつないでほしい」と話した。