会社員コスプレ写真家「趣味だからこそ、1枚に込める思いはプロをも超える」
制作した写真集は、だいたい1冊1500円で頒布する。 「せっかく本にするからには印刷にはこだわりたいので、商業印刷(オフセット印刷)を使うことにしています。印刷所によりますが、最低100部は印刷することになります。前述の経費がペイできて、打ち上げでビールを飲めるぐらいの部数が売れればOKという感じでしょうか(笑)」
見た人の反応が創作のモチベーションとなる
コスプレ撮影の面白さについて、イガラシさんはこう語る。 「作品は写真集としてコミケで発表しているだけでなく、日常的にTwitter(@igalogjp)でアップしていますが、ほかのコスプレイヤーさんや、見てくれているフォロワーさんから良い反応があったときは嬉しいですね。コスプレイヤーさんは衣装や小道具の準備だけでなく、身体づくり、肌コンディションなどの美容管理、メイクなど膨大な時間と手間をかけて撮影に臨んでくれるのです。こちらは、その期待に応えられる写真を撮れるかどうかが最低限かつ最大の課題だし、評価してもらえることが一番達成感があります」 あくまでコスプレ撮影は“二次創作”ではあるが、撮影者と被写体という3次元の作品として捉えるコスプレ写真家が増えてきているのは間違いない。 「二次創作としての楽しさとオリジナルの楽しさは違っていて、二次創作は原作となるアニメやゲームなどの解釈と、その再展開という枠組みが必要となります。分かりやすく言うと『このキャラはこういう性格だから、こういった表情やポーズはしない』といった制約があるんです。これに対し、オリジナルは一から物語を作る楽しさというものがあります。これまでは二次創作の比率が多かったですが、オリジナルとか設定のあるポートレート撮影とかの比率も増やしていきたいと思っています」(イガラシさん)
趣味だからこそ、作品づくりにこだわりたい。こうした若いアマチュア写真家が増えるのは、とても好ましく、さまざまな業界の活性化が波及することにつながっていくはずだ。これからも、作品志向のコスプレ写真家やコスプレイヤーなどに注目が必要だ。 (取材・文・写真:水澤 敬)