会社員コスプレ写真家「趣味だからこそ、1枚に込める思いはプロをも超える」
コスプレ写真というと、コミケやイベントなどでコスプレイヤーを囲み、思い思いのカメラで撮影している姿を思い浮かべる人が多いだろう。そこでは作品性の追求よりも、単に可愛いコスプレイヤーをカメラに収めたい欲望が勝っていると思われがちだ。しかし、作品性に強いこだわりを持って撮影をする人たちがいることを知り、コスプレ写真は芸術の1ジャンルではないだろうかと考えるようになった。 コスプレ写真家を自称する人たちは、ほとんどがアマチュアだ。彼らはコスプレ撮影に、どのくらいの労力や費用をかけて取り組んでいるのか。その素顔に迫ってみた。
被写体との関係が写真に滲み出る面白さ――イガラシさん
常に高いクオリティを追求し、コスプレ撮影に臨んでいるイガラシさん。平日は会社員として仕事に就いているが、週末になるとスタジオやロケなどに出かけるアマチュアコスプレ写真家だ。 「だいたい月2~3回は撮影に出かけていますね。コミケ前とかになると、休日はほとんど撮影している感じです」 イガラシさんが初めてカメラを購入したのは2007年ごろ。ニコンのデジタル一眼レフ「D40X」だ。社会人になって、初めてのボーナスで購入したそうだが、当初はコスプレイヤーはおろか人物すら撮っていなかったという。 「大学で建築学を専攻していたので、さまざまな建築物を撮りたかったんです。学生時代はコンパクトデジカメで撮影していたんですが、焦点距離が35mmスタートだったので、広角レンズが使いたくてデジタル一眼レフに憧れていたんです」 そんなイガラシさんがコスプレと出合うのは、そう時間はかからなかった。もともとアニメやフィギュアなどが好きで、コミケやワンダーフェスティバル(略称:ワンフェス)にも一般参加していた。そこで撮影会をしていたコスプレイヤーと出会い、撮ってみたいと思うようになった。 「ワンフェスでは『写ルンです!』で撮影していました(笑)。デジタル一眼レフを買ってから、TFTホール(東京・有明)で行われていたコスプレイベントで撮影していたところ、仲良くなったコスプレイヤーさんからスタジオ撮影に誘われて、そこでじっくりと撮影する面白さにハマったんです。それ以来、コスプレ撮影はスタジオがメインになりました」