暴力団の「みかじめ料」、福岡県の郊外でも「幅広い業種から少額で」集める実態…県警が追放運動強化
福岡県警が同県古賀市など都市部周辺での暴力団追放運動を強化している。同市では特定抗争指定暴力団・神戸山口組(兵庫県稲美町)傘下組織によるみかじめ料要求事件が起き、同様の事件が繁華街だけでなく、郊外でも続いている実態が明らかになったためだ。同組織を巡っては2年前に同市などで抗争事件も起きており、県警は先月、地元事業者向けの講習会を開き、「みかじめ料を支払う限り暴力団は存続し、危険は残る。決別を」と呼びかけた。 【写真】事業者に配布される「みかじめ拒否!」などと書かれた札
「暴力団に屈さず、明るい古賀市を実現しよう」。9月27日、古賀市天神の市商工会館。県警が開いた暴力団排除講習会で、参加した市内の事業者ら約50人を前に、二重作剛・粕屋署長が訴えた。参加者は「暴力団に金を渡さないぞ」などとシュプレヒコール。市商工会は今後、「みかじめ拒否!」などと書かれた桐製の札を事業者に配布する予定で、田辺一城市長は「事業者が団結し、みかじめ料を許さない機運を高めたい」と力を込めた。
全国最多の五つの指定暴力団が本拠を置く福岡県内。勢力が10年連続で過去最少を更新するなど衰退が目立つが、飲食店や性風俗店などに要求するみかじめ料は、重要な資金獲得活動の一つとしてまだ残っている。今年1、6月にも道仁会(久留米市)系組員が久留米市の飲食店2店に月3万円を要求しており、県警は繁華街などを中心に警戒してきた。
だが、県公安委員会は3~4月、神戸山口組系組長と組員2人が2022年12月~23年6月に、古賀市や福津市の飲食店事業者にみかじめ料を要求したとして、再発防止命令を出した。3人が命令に従わず再び別の事業者に要求したため、県警は今年9月、暴力団対策法違反容疑で逮捕した。
この捜査で明らかになったのが、少なくとも両市などの飲食店や美容業、自動車整備業、土木業など約30事業所が、月数千円から数万円のみかじめ料を支払っていた実態だった。ある捜査関係者は「郊外でもこうした状況が残っていることがよくわかった。暴排機運が高まる中で、幅広い業種から無理をかけない少額で集めようとしたのだろう」と話す。