個人投資家が語る「インデックスファンド」超入門。インデックスファンドの強み、投資への考え方
■金融危機のように理解できない事態も というわけで、インデックスファンドのほうが強力で、間違いなくずっと簡単なのだ。いや、話がうますぎるのでは? 投資みたいなものは難しいはずじゃないか? そんなことはない。複雑な部分は、あなたからお金を引き離すためだけに存在するのだ。ウォール街が投資を複雑にしているのは、そのほうが彼らの言葉に私たちが耳を傾けやすいからだ。彼らは言う。「そんなことで頭を悩ませなくていいですよ。われわれはこういうことに精通していますから。手数料を払ってくれれば、あとはお任せください」。
しかし、2008年から2009年の金融危機の際に見られたように、時として彼らは自分たちも理解できないような事態をつくり出す。それだけでも十分問題だが、もしそんな彼らがあなたには必要だと言われたら最悪だ。でも、そうではない。 実は、成功する投資というのはシンプルさの極みなのだ。インデックスファンドは簡単で強力かもしれないが、スムーズな道のりは期待しないことだ。株価は変動する。一定の期間で見た場合、そのうちせいぜい75%の期間は上昇するが、逆に言えば、少なくとも25%の期間はうれしくない動きをするということだ。
最近では市場が急落しても私は気にしない。しかし、ずっとそうだったわけではない。 1987年10月19日月曜日、私は普段どおり出勤した。忙しい一日だった。その日の終わりごろ、私はストックブローカーのウェインに電話することにした。ただ久しぶりだなと思ったからだった。電話に出た彼は慌てた様子だった。 「調子はどう?」と私は明るく言った。 「おい、本気で言ってるのか?」。彼の声は沈んでいた。「人生最悪の日だよ。怒鳴り散らす顧客から、ひっきりなしに電話がかかってくる」。
「ブラックマンデー」と呼ばれる運命となったこの日に、市場は22.6%下落した。たったの一日でだ。一日の下げ幅としては過去最大だった。息をのむような恐ろしい事態だった。 私は自分が取るべき行動を知っていた。何もしない。じっと踏ん張って「航路を守る」、つまり道をそれずに現状を維持することだ。市場は必ず回復するから、それまで待つ。しかしわかっているからといって、必ずしもできるとは限らない。 相場は下がり続け、ついに12月のある日、怖気づいた私は株を全部売り払った。完全な底値ではなかったが、底値同然だった。その後、傷口に塩を塗るかのように、相場はすぐに向きを変えて上がり始めた。私は株価が以前の最高値を超えてさらに上昇する様子を、なすすべもなく見守っていた。それは厳しく、高くつく教訓だった。