【府中便り】オーギュストロダンは考える人? 「言われてみれば似ているかも…」/ジャパンC
あのディープインパクト産駒は、超有名な銅像にそっくり? ジャパンC(G1、芝2400メートル、24日=東京)に出走するため来日中のオーギュストロダン(牡4、A・オブライエン)の馬名は、「考える人」を制作した彫刻家オーギュスト・ロダンに由来しているとされています。台座に座り右肘を左足の上に乗せるポーズは何とも印象的。日本でもテレビCMなどでおなじみの銅像です。 そこで安易に思い付いたのが「名は体を表す」ということわざ。火曜朝の動きをチェック後、同馬を担当するパトリック・キーティング助手に話を聞きました。 「言われてみれば、オーギュストロダンも考える人に似ているかもしれませんね(笑い)。自分で自分が優秀な馬だとよく理解しています。すごく自信にあふれていて、ちゃかつくところもなく、落ち着いて自分の仕事をこなしていますね」 A・オブライエン厩舎は“オブライエン・トレイン”と呼ばれるほど多くの馬を遠征に連れていきますが、今回は2頭のみ。午前7時、帯同馬ヒフノーシスを後ろに連れ、一番乗りでダートコースに姿を見せました。無駄な動きは1つもなく、ゆったりと歩を進めます。その後スムーズにキャンターへ移行。同馬を見るのはドバイ遠征以来でしたが、当時の印象と同じく、鞍上の指示を素直に聞いていました。 同厩舎では英2000ギニー勝ち馬サクソンウォリアー、英オークス勝ち馬スノーフォールなどディープインパクト産駒の活躍馬を管理した経験があります。キーティング助手は同産駒の特徴に「動きもいいですが、特に頭がいいですね」と“頭脳の優秀さ”を挙げていました。 22年に新設された東京競馬場馬場内の国際厩舎での生活にもすぐに順応したそう。同助手は「他の遠征もあったので2頭だけだけど、オーギュストロダンは一番前を走りたがるから今回も普段通りです。アイルランドではトラクターの音もするし、厩舎でラジオも付けっぱなしにしているから問題ない。国際厩舎は世界でもトップクラスにいい環境。土日のレース開催時も音を気にすることはなかったね」と自信に満ちた表情を浮かべていました。 寒風を真冬用のダウンでしのぎながら目にした黒鹿毛の馬体は、良質な筋肉がはっきりと分かるほどの好馬体。言われてみれば「考える人」に似ている? かは別として、日本馬にとって心身ともに超一流のディープ産駒が強敵であることに違いないと、わずかな時間でも再認識できました。【桑原幹久】