臓器移植の連携体制構築を 県立大島病院で医療関係者セミナー 奄美大島
臓器提供の現状や課題を学ぶ医療関係者向けのセミナーが1日、鹿児島県奄美市名瀬の県立大島病院であった。オンライン併用で開かれ、県内外の医師や看護師、奄美看護福祉専門学校(同市名瀬)の生徒ら約40人が参加。県内の臓器提供の症例報告や聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県)で取り組むICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療システムの紹介などがあり、移植医療の発展に向け理解を深めた。 セミナーは厚生労働省が推進する「臓器提供施設連携体制構築事業」の一環として開催。鹿児島大学病院が今年度から同事業に参画し、県立大島病院、鹿児島市立病院が連携病院となったことから医療機関の連携体制整備などを目的に開かれた。 セミナーでは鹿児島大学病院の佐藤満仁医師と鹿児島市立病院の山田浩平医師が臓器提供の実際の症例を紹介。聴講後のグループディスカッションでは「家族に臓器提供という選択肢を提示するタイミングが難しい」などの意見があった。 後半は聖マリアンナ医科大学病院移植医療支援室の中村晴美主査が、同院で取り組むICTを活用した施設間連携や患者家族、医療従事者への支援体制を紹介。情報漏えいに対するセキュリティー対策向上などが必要とした上で「ICTの導入はタイムリーな支援や業務効率化につながり、連携施設と拠点施設双方にメリットがある」と訴えた。同院で導入を進める遠隔医療システムを使った脳死判定のシミュレーションなども行われた。 鹿児島市立病院集中治療部の仲村将高部長は閉会あいさつで「鹿児島県は県本土も広く、離島も多く抱えている。きょう初めて3病院の関係者が集った。これを機会に発展していくことを期待している」と語った。