小林千晃、内山昂輝、梶裕貴、島﨑信長、堀江瞬……“イケボ”として支持される人気声優の特徴は?
女性ファッション誌『ViVi』(講談社)の企画「ViVi国宝級イケメンランキング」。2023年下半期から設立された「イケボ部門」は“イケてる声”を読者が選ぶ企画で、現在の人気声優の動向を測ることのできるランキングとも言える。2023年下半期のランキングの1位にはアニメ『呪術廻戦』で七海建人などを演じる津田健次郎、2位には同じく『呪術廻戦』で五条悟を演じる中村悠一、6位には『呪術廻戦』の主人公・虎杖悠仁を演じる榎木淳弥が選ばれるなど、『呪術廻戦』の人気の強さを感じさせるランキングだった(※1)。 【写真】人気声優/俳優の津田健次郎、常田大希(King Gnu)との2ショット この初回発表は数多くのニュースサイトでも取り上げられ、SNSでも話題をさらったことは、2024年上半期のランキングにも大きく響いたのではないだろうか。今回は、これまで未知だった「イケボ部門」の2回目となる「2024年上半期ランキング」(※2)に注目したい。 73万票を超える投票総数を数えた2023年下半期の「ViVi国宝級イケメンランキング」だったが、2024年上半期は総投票数97万票超え。なんと20万票以上を上回っている。そんな注目度の高さを見せたランキング内の「イケボ部門」で1位を獲得したのは、小林千晃。アニメ『マッシュル-MASHLE-』のマッシュ・バーンデッド役やアニメ『葬送のフリーレン』のシュタルク役、今年4月期放送のアニメ『花野井くんと恋の病』の花野井くん(花野井颯生)役などで人気上昇中の声優である。淡々としているようで秘めたる熱を感じさせる声とキャラクターを生き生きと描写する小林の手腕によって、現在人々の注目を集める作品が見えてくるように思う。OPテーマであるCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の世界的ヒットで知られる『マッシュル-MASHLE-』はもちろんだが、やはり『葬送のフリーレン』は強い。両作品ともに、原作漫画ファン、アニメファンのみならず幅広い層を引きつける作品であることを、改めて感じさせた。 2位にランクインしたのは内山昂輝。映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の月島蛍役でランクインしているが、『マッシュル-MASHLE-』第2期にあたる神覚者候補選抜試験編(カルパッチョ・ローヤン役)、アニメ『【推しの子】』第2期(姫川大輝役)といった、主題歌が世界的にヒットしている作品はもちろん、アニメ『ブルーロック』の糸師凛やアニメ『怪獣8号』の鳴海弦など人気の高いキャラクターも演じている。『ViVi』のランキング発表でも「胸アツと胸きゅんが同居する低温ボイス」と評されているように、やはり冷静沈着な声の人気の高さを感じさせる。無気力なようでいて熱さを持つ実力が高いキャラクターは、かねてから女性からも男性からも人気が高い印象だ。 3位には梶裕貴。『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』では、音駒高校・孤爪研磨を演じているが、彼も『マッシュル-MASHLE-』に出演。マッシュ・バーンデッドの友人であるフィン・エイムズの兄で、イーストン魔法学校3年生にして史上最年少で神覚者に選ばれたレイン・エイムズを演じている。また、『ツキウタ。』の映画作品である『「ツキウタ。」劇場版 RABBITS KINGDOM THE MOVIE』(2024年公開)で演じる師走駆のような瑞々しいほどに快活な元気ボイスから、研磨やレインといった低く冷静な声まで幅広い表現力でファンを虜にするイケボで、2023年下半期ランキングで7位だった順位から4ランクアップでのランクインとなった。 4位にランクインしたのは島﨑信長。「自由気ままな純白ボイス」と評される彼は『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』の凪誠士郎役でランキングに登場。『ブルーロック』でも主人公・潔世一のライバルであり友である凪を演じ、そのイノセントな魅力を余すことなく放った島﨑だが、他の出演作にも本ランキングの結果を紐解くヒントがある。それは、アニメ『WIND BREAKER』である。地元の街を守る「偏差値は最底辺、喧嘩は最強」の風鈴高校で頂点を目指す主人公・桜遥のクラスメイトである蘇枋隼飛を演じる島﨑。蘇枋は作品ファンからも人気の高いキャラクターだが、声に感情の機微を滲ませる島﨑の表現によってキャラクターの表情が豊かに伝わり、さらに人気となっている。そんな『WIND BREAKER』には、同ランキング1位の小林(獅子頭連のメンバー・佐狐浩太役)、2位の内山(風鈴高校・杉下京太郎役)、さらに後述するランキング6位の岡本信彦(風鈴高校・梶蓮役)、7位の中村悠一(風鈴高校・梅宮一役)、10位の千葉翔也(風鈴高校・楡井秋彦役)も出演。今回のランキングによって、「2023年下半期」のランキングでの『呪術廻戦』同様、現在注目度の高い作品とも言えるだろう。 ランキングの5位に名を連ねたのは、堀江瞬。「その演技に多くのアニメファンが涙した」と評される堀江は、アニメ『僕の心のヤバイやつ』の市川京太郎役でランクイン。陰キャの主人公のもどかしいくらいに不器用な恋模様を描くラブコメディを、そのピュアな芝居によってより魅力的にした堀江。「理由(ワケ)あって」アイドルこと『アイドルマスター SideM』のBeit・ピエール役でも根強い人気のある彼は、アニメ『SHAMAN KING FLOWERS』の麻倉葉羽役や『ミギとダリ』の園山ミギ役など、主人公や物語を大きく動かすキーマンの役を演じることも多い注目度の高い声優である。