元X・TAIJI 没後10年 ロックミュージシャンの非業の死を振り返る
2011年7月17日、元X、そしてLOUDNESSのメンバーだったTAIJI(沢田泰司)さんがサイパンで亡くなった。享年45。卓越したベーステクニックとカリスマ性で熱狂的に支持された彼の最期は、多くの謎を残し、波紋を呼んだ。そしていま、TAIJIさんの死から10年がたつ。追悼の意を込めて振り返ってみたい。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
2011年7月、サイパンでは熱帯の樹木「フレームツリー(火炎樹)」が、美しい濃いオレンジの花をつけ咲きほこっていた――。北マリアナ諸島(アメリカ合衆国自治領)にあるサイパンは、直行便があれば成田から片道3時間半。透き通ったサンゴ礁の海、常夏の島だ。当初、TAIJIさんはこの地で自分の心身の傷を癒やし、リラックスして音楽活動をしたいと考えていたようだ。 TAIJIさんは千葉県市川市出身。小学2年生の時、独学でアコースティックギターを始め、高校時代にロックにのめり込み、やがてそのテクニックが認められるようになった。1986年にYOSHIKIさんの誘いでXに参加。天才ベーシストと崇められ、いまもなおファンの間でレジェンドとして語られている。2009年からTAIJIさんと交際し、当時、同棲していた婚約者の赤塚友美さんはこう述懐する。
赤塚友美さん:TAIJIさんの人生は、いま振り返ってみても大変だったと思います。繊細すぎて、人付き合いが上手じゃなかったですし、Xを脱退後、うまくいかないことも多かったみたいで…。だから私も、交際するようになってからは、全力でサポートしてきたつもりです。彼自身いろんな病気を抱えて闘病しながらも、体調は良くなっていましたし、2010年に自分のバンドを始め精力的に活動していた矢先でした。新事務所のマネージャーA氏の家がサイパンにあったため、音楽創作のためTAIJIさんは何度かサイパンに行っていました。自殺と聞かされたときには、そんな兆候は微じんも感じられなかったので、まったく信じられませんでした。