「自分が母親と精子から生まれている感覚。“提供者”に会いたい」 AID(非配偶者間人工授精)で生まれた女性の苦悩 “出自を知る権利”に法整備の壁も
AIDによる精子提供は、日本の医療機関では、法的に結婚している夫婦のみ認められている。伊藤氏は「この新たな法案でも、婚姻夫婦にしか認められていない」と説明する。「無精子症や性別変更で、精子提供を受けている夫婦は、年間1000~1500組しかいない。1人のドナーから10組まで使えるので、年間100~150人集まればいいのが現状だ。ただ、もっと自由に精子バンクが使える時代は日本には来ないだろう」。 ドナー確保の体制を、いかに構築するか。生殖補助医療を長年取材・執筆しているジャーナリストの大野和基氏は、「AIDは新たな家族の形である」と、国がメディアなどの啓蒙活動で社会に周知する必要性を語る。加えて、公的な第三者機関を設置し、カウンセラーが提供者と提供される側、子どもの仲介に入るなど、安心して精子提供できる環境を作ることの重要性にも触れる。 石塚さんは当事者として、「この問題が知られていないことがつらかった。なかったことにはされたくなかった。どうやったら幸せな家庭を作れるのか。子どもは何を幸せだと思うのか。しっかり考えて議論を進めてほしい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)