【今が〝旬〟~このレーサーに乗れ~】前田聖文 デビュー14年目で初V、A1初昇格「高い目標を持たないとダメ」
◇前田聖文(36)愛知支部105期 2025年前期勝率は自己最高の6・84でA1キープ。前走の若松でも優出を果たし、今年の優出回数を14に伸ばした。3走前のとこなめでは悲願のホーム初V。「地元で気負いもあったのかな。自分にしては珍しく緊張していた」と笑顔で振り返った。 2009年11月にデビューして16年目に入った。初Vは初出走から13年6か月となる昨年5月の江戸川。A1初昇格も2024年後期と遅咲きだが、その後は充実一途だ。 好調の要因については「よく聞かれるんですが、これといって技術的に大きく変わったことはないんです。ペラは少し変えているけど、ベースは他の選手と似たような感じですからね。最近はペラが合うのか確かに毎節のようにエンジンを出せているけど、めぐり合わせもある。たまたまかな」という。 ただ、目に見える変化はないが、メンタル面では〝進化〟している。「気持ちに余裕ができたのは大きいかも。いつかはA1にならなきゃという思いがあって実際になれた。なれたらなれたで続けなきゃと目標を立てて集中できてましたからね」と明かす。 そして、多くの選手がA1定着できずにA2やB級に逆戻り。今後も甘くないことは認識している。「守りに入って守れるもんじゃない。それができるのは一部の天才だけ。今年はいろいろかみ合って何度も優出できたけど、優出で満足していたこともあった。1号艇ならもちろん気合は入るけど、それはめったにない。優勝戦は事故だけはしないようにと慎重なレースになることも多かったんです」と振り返る。 その中で気づいたのは〝攻め〟の姿勢を貫くことの大切さ。11月からスタートした2025年後期適用の級別審査期間でも明確な目標を掲げている。「勝率7点です。前期の6・84は正直でき過ぎの感じもあるんですけど、高い目標を持たないとダメ。もし記念に呼ばれるようになればレベルが違うし、一般戦でも油断したら一瞬で落ちていきますよ。間違いない」と気持ちを引き締める。 A1定着、勝率7点のカベも突破できるようなら至高の舞台に立つという夢も広がってくる。目標の一つは勝率が選考基準となるSGダービー出場。「もちろん限界はあるだろうけど、それを試したい。先は長いけど、チャンスがあるようならもちろん狙っていきますよ」とキッパリ。 30代後半。ここからが選手としてもっとも脂の乗ってくる時期でもる。ひたすら高みを目指して走り続ける。 ☆まえだ・きよふみ 1988年4月17日生まれ。愛知支部の105期生。愛知県出身。2009年11月に蒲郡でデビュー。同年12月に平和島で初勝利。初優勝は昨年5月の江戸川。通算3V。同期に磯部誠、佐藤翼、渡辺優美、菅章哉、塩田北斗ら。
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