24年LME亜鉛価格、2700~3100ドルに上昇予測。市況安で地金減産進むー三井金属
三井金属は、2024年のLME(ロンドン金属取引所)亜鉛価格(年平均)が、トン2900ドルを中心に2700~3100ドルのレンジ内で落ち着くと予測している。米国の金融政策転換が追い風となることに加え、亜鉛市況低迷とコスト高を要因とした鉱山休止の影響で鉱石不足の環境となり、地金の生産調整が入るとみる。地金需給バランスは25万トン程度の供給過剰だった見込みの前年から縮小すると予測した。 24年の世界の亜鉛地金需給バランスについて、亜鉛・鉛事業部の菅原健二亜鉛ユニット営業部長は「国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)が昨秋公表した需給予測では36万7千トンの供給過剰と予測されていたが、そこまで余剰幅は拡大しないとみる。場合によっては需給均衡に近い水準になる可能性もある」との見方を示す。ILZSGの予測は昨夏ごろに集計した各国の予測値が前提となっており、その後の需給環境に変化が起きているためだ。 昨夏以降、市況低迷やコスト高を理由に鉱山での減産や休止の発表が相次いでおり、鉱石不足を要因に製錬所での生産調整が入り、地金供給が減少すると見込む。中国の需給バランスについても「鉱石不足の環境下で安定的な原料調達が困難なことに加え、景気刺激策による需要回復が進めば需給均衡ないし、不足バランスが継続する可能性もある」とみる。一方、需要は昨年よりは回復するものの、景気は停滞し、昨年の傾向が継続すると想定した。「中国需要は緩やかに回復するとの見方が出始めている。生産調整と需要回復が進めば価格も上昇しやすい環境になる」とした。 今後の需給と価格に影響する要因の一つには鉱石価格の動向を挙げた。「鉱石条件によって供給が強くなり、地金価格は上値が重くなる可能性もあるが、少なくとも2400~2500ドルの水準を下回ることはないだろう。この水準では不採算の供給者による減産が進むと予想される。下値が限定的で需給状況によってどこまで上昇するかがポイントになるだろう」と話した。 メインシナリオでは、中国の旧正月を意識して2月中旬までの上昇幅は限定的に進むが、2月から3月にかけて価格が動きだすと予想。春先から夏場にかけて地金減産が顕在化し、一気に3千ドルを超える展開になるとみる。その後は相場回復に伴う鉱山再開の動きが出始め、供給回復によって亜鉛価格も緩やかに落ち着いていくと予測する。この間、米国の金融政策の転換も価格上昇の追い風となるほか、減産が起きている2400~2500ドル近辺は市場の心理的抵抗線になるとみる。