千年の都で食べる、白雪のような“かき氷”。京都・下鴨神社にある『さるや』で平安貴族体験
●夏の京都旅行の思い出に深く刻まれる一杯。下鴨神社の境内にある『さるや』でいただく、シンプルで美しい「かき氷」の魅力とは?
暑い暑い夏の京都。やっぱり欲しくなるのは冷たい食べ物。その筆頭といえば、キーンと冷たい“かき氷”ですよね。 京都で一度は訪れたいスポット&グルメをチェック! オシャレなカフェも多い京都には、美味しい進化系のかき氷もたくさんありますが、今回は少し毛色の異なるお店を紹介したいと思います。
下鴨神社の境内にある『さるや』
今回のお店があるのは京都でも特に歴史があって、世界遺産にも登録されている下鴨神社の境内。 京阪電車の出町柳を下りて鴨川を西へ渡り、鴨川デルタを北に進むと広がる糺(ただす)の森。その先の下鴨神社の楼門前にある『さるや』が今回紹介するお店。老舗和菓子店の「宝泉堂」が下鴨神社の境内で営業しているお店となっています。 京都で氷といえば非常に長い歴史があり、平安時代には冬の間にできた氷を氷室という貯蔵庫に保管して夏の暑い時期に神事として食べていて、貴族からも愛されていました。
その様子は清少納言の「枕草子」にも登場し、「あてなる(上品な)もの」として「削り氷(けずりひ)に甘葛(あまずら)入れて」と書かれていて、これが現在でいうかき氷のようなものだと言われています。 その氷室が、かつては下鴨神社の脇にも存在していました。『さるや』では真夏の氷室神事の古事にならい、「鴨の氷室の氷」と名付けて再現。不純物を極力含まない氷を使ったかき氷が夏季限定で提供されています。
そこに特製の黒蜜シロップを掛けていただきます。かき氷の氷の口当たりはフワッと軽やか。そして黒蜜シロップは素朴でありながら、独特で非常に濃密な味わい。
近年の映えるタイプのかき氷に比べると、見た目はグッとシンプルですが、味わいは十二分。アクセントとして白玉や練乳などが掛かっていて、やや現代的にアレンジされています。
京都といえば夏の暑さが有名ですが、今回紹介した鴨川デルタ周辺から糺の森は木々の多さと水の流れでかなり涼しいエリアとなっています。 そんなおごそかで涼やかな糺の森を眺めながらシンプルなかき氷を食べ、長い歴史に思いを馳せると、平安貴族になったような贅沢を味わえます。美味しいだけでなく、夏の京都旅行で記憶に強く残る最高の京都グルメとなっています。