「コミュニティサイクル」は定着するか 大阪市も自転車専用レーン導入へ
大阪市の橋下徹市長は10月初め、市中心部を南北に走る幹線道路「御堂筋」の一部側道を廃止し、2016年度を目標に自転車専用レーンに転用することを発表しました。東京都の舛添要一知事も東京五輪に向け、自転車レーンの整備拡大に意欲を示しており、全国の自治体で自転車を活用した街づくりが広がろうとしています。そこで注目が集まるのが共用の自転車を市民に貸し出す「コミュニティサイクル(シェアサイクル)」です。借りた場所に返却しなくてはいけないレンタサイクルと異なり、コミュニティサイクルは駅や店舗などの複数拠点(ポート)があり、好きなポートで借り、別のポートで乗り捨てできるのが特徴。仏・パリでは2万台以上が貸し出されていますが、日本では「社会実験の域を出ていないものがほとんど」(日本シェアサイクル協会)といい、拡大には民間と地方自治体がどれだけ連携できるかがカギになりそうです。
御堂筋の一部側道を自転車専用に
大阪市の発表によると、御堂筋のうち長堀通と交差する新橋交差点から南向きの約1.2キロは車道を6車線から4車線に縮小し、東西それぞれの側道をなくして自転車レーンに転用、歩行者と分離します。また、長堀通の北側約1.9キロは、側道を本道側に移設し歩道側にスペースをつくり、新たに自転車通行空間を作るとしています。市によると、御堂筋の自動車通行量(本町周辺)は約40年前と比べ、約5割減少している一方、自転車の交通量は約7倍に増加しており、「交通状況の変化をとらまえる必要がある」として自転車レーンの拡大に踏み切りました。 地元大阪市のコミュニティサイクルの一つ、「COIDECO」は現在淀屋橋、心斎橋など12のポートがあり、約60台の自転車を運用しています。スマートフォンなどで事前登録すればだれでも利用でき、1日利用なら756円。1か月プラン(会費1080円)を活用すれば、最初の60分は無料、以後60分ごとに108円で利用できます。また「ハブチャリ」はCOIDECOと連携することで18ポートがあり、約50台を保有。1回利用なら1時間100円で借りられます。両サイクルとも営業マンなどの利用のほか、外国人観光客への貸し出しが多いといい、「今年に入ってホームページで中国語の紹介をいれたところ、利用が一気に増えた」(ハブチャリ)そうです。「将来的には梅田駅周辺などで30~50台が待機できるポートを作りたい」(同)としており、御堂筋の自転車専用レーンに連動する形でポート数の拡大が期待されています。 一方、大阪府堺市は2010年9月からコミュニティサイクルの運用をスタートさせています。JR阪和線や南海線など市内の鉄道駅付近など7カ所にポートを設置し、現在電動アシスト自転車も含め約650台を配備。利用料は1日300円。自転車は堺市の主要産業の一つで、同市では「自転車のまちづくり推進条例」も10月1日から施行し、力を入れています。