「コミュニティサイクル」は定着するか 大阪市も自転車専用レーン導入へ
「社会実験」の域を出ない現状
コミュニティサイクルの活用は二酸化炭素(CO2)排出量削減など環境問題に効果が期待できるほか、都市部では放置自転車対策にもつながるという指摘もあります。またバスや電車といった公共交通網を新たに整備するより、自転車の方が低コストで取り組めるという面もあるようです。 国内ではこれまで札幌、金沢、東京・千代田区など50都市程度でコミュニティサイクルの取り組みが行われてきましたが、「ほとんどは100~500台程度で、期間も数年といった社会実験がまだ多い」(日本シェアサイクル協会)といい、堺市で最大級といえます。
これに対し、パリは2007年にスタート。「ヴェリブ」と呼ばれ親しまれており約2万4000台が貸し出されています。また、英・ロンドン8000台、米・ニューヨーク6000台など欧米では新たな都市交通として急速に普及しています。しかし、日本ではポート数がまだ少ない上、ポートも店舗などに無料協力してもらうケースがほとんどで、10台以上待機できるポートも少ないのが実情。自転車の再配備のコストをどうするかなど、まだ課題は多いようです。 同協会では「日本はほとんどの人が自転車に乗れる自転車大国なのに、1000台レベルにもまだ達していない。拡大には大規模なポートの設置などが必要だが、それには公有地の貸し出しなどが求められる。自転車を公共交通として位置づけ、民間のノウハウに官が連携していくことが不可欠」と話しています。大阪市の自転車専用レーン導入は、御堂筋の歩道に歩行者と自転車が混在するケースが目立ち、歩行者の安全性を確保する意味もあります。都市部の主要道路において車、自転車、歩行者のすみわけを進めることも、コミュニティサイクル促進への課題になりそうです。