「70才で要支援1の父親が実の姉から施設の身元保証人を頼まれた」断ることはできるのか?【専門家解説】
親族でも身元保証人を断ることはできるのか
結論から言うと、身元保証人を断ることは可能です。 身元保証人になることは法律で義務付けられているものではなく、あくまで個人の意思に基づくものです。そのため、親族だからといって無理に引き受ける必要はありません。 断る際には、高齢で要介護認定を受けていることや遠方のために緊急時の対応が難しいといった事情を伝えると施設側に理解されやすいでしょう。 なお、身元保証人を断った場合でも、施設側に連絡先だけ伝えておいて、緊急時や逝去の際だけ連絡をもらうことも可能な場合もありますので相談してみてください。
成年後見人に連帯保証人や身元引受人を頼めるか?
親族が身元保証人を引き受けられないケースでは、成年後見人が選択肢に挙がることがあります。 成年後見人とは、入居者の財産や生活を適切に管理できなくなった人を保護するための制度で、後見人は基本的に家庭裁判所が指定します。多くの場合は弁護士や司法書士など専門家が指定されることが多いですが、弁護士や司法書士などの第三者が後見人である場合、身元保証人や身元引受人にはなれません。 これは、成年後見人の役割と身元保証人の役割が利益相反の関係にあるためです。成年後見人は被後見人の財産管理や法律行為を代行する立場にあり、被後見人の利益を守ることが求められます。 一方、身元保証人は、支払い債務の保証をする立場であり、これが利益相反を生む可能性があります。
身元保証人を断る場合の対応策
法律(※)では、病院や施設が身元保証人がいないことを理由に入院・入居を拒否することを認めていません。 介護施設については「入院・ 入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を 拒否する正当な理由には該当しない」と、国の見解が示されています。 しかし、実際には、料金の未払いや緊急時の連絡先がないことを懸念して、受け入れをためらう施設も少なくありません。 そのため、身元保証人になることを断る場合には、次のような対処法を提案すると良いでしょう。 ※法律「医師法第19条1項」 <対処法> 【1】身元保証を代行する団体や代行サービスを利用して介護施設に入居する 【2】身元保証人が必要ない介護施設を探す(成年後見人がついていれば契約可能なところもある) これにより、身元保証人がいない場合でも安心して暮らせる施設を見つけることができるでしょう。
まとめ
身元保証人を引き受けるのが難しい場合、断ることは可能です。断る際には、こちらの状況や理由を丁寧に説明して納得してもらいましょう。また、身元保証を行う団体や代行サービスや身元保証人が必要ない施設を探すなどの代替案を提案するのも一つの方法です。