韓国大統領夫人、ブランドバッグ事件で「嫌疑なし」…「予定された結論」との批判も
検察幹部「尹大統領が捜査したなら起訴したのではないか」
ソウル中央地検の捜査チームが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人キム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り事件に対して嫌疑なしの結論を下したことを受け、検察が大統領室に引きずられ「出張聴取」を行った消極的な捜査の末に「予定された結論」を出したという批判の声があがっている。 キム女史のブランドバッグ受け取り事件の事実関係は明確だ。チェ・ジェヨン牧師は2022年6月、180万ウォン(約19万円)相当のシャネルの香水と化粧品をキム女史に贈った。同年7月には40万ウォンのウィスキーと本8冊を贈り、同年9月には約300万ウォンのディオールのバッグをプレゼントした。キム女史に500万ウォン(約55万円)を超える金品を提供した事実を立証したチェ牧師は、金品を渡した前後に、元米連邦下院議員のキム・チャンジュン氏を死去後に国立墓地に埋葬すること▽キム元下院議員の主導で結成された米国元連邦議員協会(FMC)の訪韓時に尹大統領夫妻と面会及び行事に出席すること▽統一テレビ再放送などをキム女史に請託したと明らかにした。これに先立ち、チェ牧師はキム女史に要請し、2022年5月に新羅ホテルで開かれた尹大統領就任記念の国賓晩餐に出席したりもした。しかし検察は、このような金品授受は尹大統領の職務と関連性がないとし、請託禁止法違反の疑いはないと結論付けた。世間の批判を受けた国民権益委員会の終結決定と同じ論理だ。 権益委より捜査権が強い検察は、キム女史が受け取った金品の職務関連性をより積極的に突き止め、判断することができた。法曹界内外で、キム女史に特定犯罪加重処罰法のあっせん収賄や弁護士法違反の適用が可能だという指摘が出たのもそのためだ。あっせん収賄罪は公務員職務と関連した仕事をあっせんして金品や利益を受け取ったり、受け取ることを約束した場合に成立し、弁護士法違反は公務員が処理する事件を請託・あっせんするという名目で金品を受け取ったり、受け取ることを約束した場合に処罰する条項だ。しかし、ソウル中央地検捜査チームはこれさえもキム女史に適用できないとみなし、「嫌疑なし」で完全なる免罪符処分を選択した。チェ牧師はこの日、文書で立場を表明し「キム・チャンジュン議員の死去後の国立墓地への埋葬や、統一テレビの再放送を頼み、この内容がカカオトークと録音ファイルを通じて確認されるのに、これが請託でなければいったいどんなことが請託なのか、納得がいかない」として「検察は感謝の表示、会うための手段だったと判断したが、物を贈る時にはそのような意味もあり、請託する意味もあるなどさまざまな意味が含まれている。贈り物を渡すのにどうやって純粋に一つの意味だけがあったと判断したのか理解できない」と明らかにした。 ソウル中央地検のイ・チャンス地検長は、22日にイ・ウォンソク検察総長に捜査の結論を報告する。厳正処理を強調してきたイ総長が職権で捜査審議委員会を招集することもありうるが、審議を通じて結論が覆されるかどうかは未知数だ。 検察の嫌疑なしの方針が知られると、法曹界では「露骨な見逃し調査」だという批判の声が出ている。ある検察幹部は、「尹錫悦大統領が捜査をしたなら、当然あっせん収賄や弁護士法違反で起訴したのではないか。かつて朴槿恵(パク・クネ)元大統領は包括的収賄で処罰を受けた。大統領の場合、対価関係が幅広く認められる」とし、「同じ論理で大統領夫人は莫大な権限を持つ大統領の職務と関連したあっせんが可能な人」だと指摘。判事出身の弁護士は「あっせん収賄や弁護士法違反の疑いはもちろん、キム女史が金品を受け取った事実を尹大統領が知っていたなら、収賄罪も適用しうる」として「このような事件で、あっせん収賄が成立するかどうかを真剣に確かめること自体がおかしいこと」だと述べた。民主社会のための弁護士会のイ・チャンミン検警改革小委院長も「供与者(チェ牧師)の供述があり、バッグを受け取った映像もある。この事件は実体的な究明は終わった事件だ。国民的判断は終わったが、検察の嫌疑なしの結論によって司法府の判決は下されず闇に葬られる事件となった」と語った。 カン・ジェグ、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)