一晩で熱が下がる娘に違和感…その後、医師「数値がおかしい」9歳で他界した娘を襲った病とは。その後、こどもホスピスプロジェクトに携わる母の思いに迫る
「存分に生きるを、一緒に。」こどもホスピスプロジェクト
「いつも支えてもらっていたのは私」と語る晃子さん。佐知ちゃんから教わったことは大きく3つありました。 それは「今を精一杯生きる、最大限楽しむ 」こと。 「困難な状況であっても共に生きていく、一人じゃないよ」ということ。 「自ら行動を起こし夢をつかみとる」ことでした。 「この佐知の生き抜く姿に後押しされながら私も生きていました。今を精一杯生ききる佐知を尊敬していました。この闘病生活は本当に多くの方々に応援していただき、私自身今まで生きてきた中で、こんなにも心がありがとうの気持ちでいっぱいになる経験をしたのは初めてでした。佐知にも、周りの皆様にも心からありがとうの気持ちでいっぱいになりながらの闘病生活で、人は一人では生きていけないという意味がようやく理解できました。佐知の『病気になったのは嫌だけど、でも病気になってよかったと思えることもある。元気だったらできなかった経験がたくさんできているから』の言葉通りだと思いました」と晃子さんは話してくれました。 晃子さんは、現在「愛知こどもホスピスプロジェクト」に携わっています。 愛知こどもホスピスプロジェクト(ACHP)の理念は「存分に生きるを、一緒に。」 それまで、晃子さんは横浜こどもホスピス(2021年設立)について、何度かテレビで見たことがあったといいます。しかし当時は「こどもホスピス」を知らなかったため「横浜に何かわからないけれどよさそうなものができるんだな」と思った程度だったといいます。 「こどもホスピス」を知ったとき、晃子さんは「佐知のような LTC(重い病気や障がいのある状況)のお子さんにとって、とっても大切で必要な場所だなと思っていました。大阪と横浜のみでなく、小児がん拠点病院(愛知は名古屋大学医学部附属病院。全国には15箇所)のある愛知にも必要だと感じました」と話します。 佐知ちゃんが亡くなり1年半後、愛知にこどもホスピスをつくろうとしている動きがあることを知った晃子さん。その立ち上げに偶然知り合いがいたこともあり、声をかけてもらえました。 そこに晃子さんが携わる決心には「存分に生きるを、一緒に。」という愛知こどもホスピスプロジェクトの理念が素晴らしいと思ったことにありました。また、佐知ちゃんが亡くなった1年後に晃子さんの義父が亡くなったこともあり、バタバタしていた時期が落ち着き、これから何をしようかなと思っていたタイミングでこの話があったといいます。 さらに「佐知とゆかりのある方々が立ち上げられたので、佐知も参加したいのかなーとも思えました。また、今まで私は人前でお話しするとか、パソコンを使うとか、そういったことをほとんどやったことがないまま生きてきたので、役に立てる自信が微塵もなかったのですが、プロジェクトのメンバーのみなさんや夫も協力すると後押ししてくれたのでやってみようかなと思いました」と話していました。 晃子さんはSNSで佐知ちゃんや正輝くんのこと、こどもホスピスのことを多く載せています。それに対し「共感や応援メッセージをいただいています。例えばレモネードスタンドの投稿をすると『Instagramで見ました』と会場にお越しいただいたり、会場には行けないけれど寄付をしたいからと連絡をいただいたりします。その中でお子さんを亡くされた方、現在闘病中の方、そのご家族がフォローしてくださり、こどもホスピスを応援してくださっている方が私のInstagramもフォローしてくださることもあります。Instagramで出会った方のお友達もフォローしてくださっています。出会ったことはないけれど、一緒に心配してくれたり泣いてくれたり喜んでくれたり、一緒に今を生きてくれているような感覚です。一人じゃないと思えています」と。 ※レモネードスタンド…小児がん治療のために寄付するという社会貢献活動 レモネードスタンドの準備の際、お空の佐知ちゃんに相談していたという晃子さん。そんなとき、レモンのパウンドケーキを正輝くんが作ってくれ、旦那さんはレモネードジュースを買ってきてくれました。 晃子さんの今後の目標は、まずは自分の周りからあたたかい空気をつくっていくこと。 「生きていれば日々いろいろなことがありますが、私も含めてその場に関わった方々が幸せと感じられる、生きていて幸せと思える、そんなあったかい居場所をつくりたいです。私の場合、子どもを亡くすという想像していなかった未来となりましたが、それで終わるのではなく、それも含めて今の自分があると思えるような人生にしていきたいです」と晃子さん。 さらに晃子さんはこう話します。 「佐知から教わったことを活かして生きていきたいです。そして、佐知が好きと言ってくれた『前向きで明るくて面白いママ』で生きていきたいです。こどもホスピスプロジェクトではLTCのお子さんご家族のみでなく、そこに携わっているスタッフやボランティアさん、みんなが『存分に生きるを、一緒に。』を味わうことのできる居場所を目指していきたいです」 晃子さんは、9歳の娘さんの佐知ちゃんを亡くすというつらい経験をしました。しかし娘の闘病からこどもホスピスの必要性を考えプロジェクトに携わり、活動を続けています。 「前向きで明るくて面白いママ」としてお母さんが行動していく姿を、佐知ちゃんはお空から見守り、応援していることでしょう。
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