一晩で熱が下がる娘に違和感…その後、医師「数値がおかしい」9歳で他界した娘を襲った病とは。その後、こどもホスピスプロジェクトに携わる母の思いに迫る
4度目の入院そして再発…
しかし2020年1月、骨髄移植の合併症で4度目の入院。さらに9月には白血病が再発。 3度目の入院までは、ゴールの見える入院でした。 「トンネルの出口があり、ここまで頑張ればゴールできるという目指す先があったのですが、最後の4度目の入院は骨髄移植後の肺合併症でした。そのため抗がん剤治療ではなくトンネルの出口がない入院で、家族それぞれにとってもつらい出来事でした。ずっと永遠にマラソンをしている感じで、どこまで頑張ったら報われるのか、ゴールが見えてくるのか、私は怒りや悲しみや取り残された感でいっぱいになっていましたが、佐知は『早く帰れるといいね』くらいの言葉でした」 さらに晃子さんは「一番ショックを受けたのは佐知だと思いますが、親である私の方がこの気持ちを表現してしまって…。だからこそ佐知からは私を気遣って、泣くこともできなかったのかもしれないと今になって思います」といいます。 4回目の入院に至る数週間前、呼吸がなんか早いなあ…と晃子さんは気づきます。 「本人もしんどさはあったと思うのですが、入院したくない気持ちで我慢していたのかもしれません。ですが、やはりこれはおかしいということで緊急で病院に行くことにしました。佐知はこのときは『絶対に入院したくない』と。私も同じ気持ちだったのであえて入院の準備をせず、帰れるかもしれないとわずかな望みをもって病院に行きました」といいます。しかし、緊急入院が必要とのことで入院することになりました。 佐知ちゃんは、小学校に行くのが「とっても楽しい」と言っていたため、学校に行けなくなることが悲しかったようです。入院の準備をするため、自宅に入院グッズを取りに3時間ほど帰りますが…。 そのときに佐知ちゃんが手紙を書いてくれていたのです。 「そのときは普通にありがとうと思いましたが、佐知が亡くなって改めて見返したときに、子どもって大人の顔色をとってもよく見ていること、私がイライラしているときでもそんなママも含めて大好きと言ってくれているように思えて…。このお手紙は宝物です」と晃子さん。 「ママへ。いつもありがとう。いろいろな事を毎日させてごめんね。わたしはママが大すきだよ。こんなむすめだけどこれからもよろしくね。前向きで明かるくて、おもしろいママ、大すきだよ♡さちより」 佐知ちゃんはこのとき、入院したくなかったけれど入院となりました。晃子さんも「また入院生活が始まるのか…」と不満をこぼします。また佐知ちゃんは、お兄ちゃんの正輝くんのことなどをいろいろ見聞きしていたといいます。 「その中で書いたこのお手紙、どんな気持ちで書いてくれたんだろう…と思うと、私の心の器の小ささを実感するとともに、佐知の心の器の大きさや尊さを感じました。私の方が精神年齢はこどもでした」 佐知ちゃんと正輝くんは2人兄妹。佐知ちゃんの長期入院により、正輝くんは爪を噛む、集中力がないなどの言葉にならない感情が身体症状として現れていました。