AFPが選ぶ2024年スポーツ界のトップニュース
【AFP=時事】AFPスポーツは、2024年に五輪以外で注目を浴びたトップニュースを振り返る。 【写真】「50HR・50盗塁」、ワールドシリーズ制覇にMVPを獲得した大谷翔平 ■テニス:シナーとシフィオンテク、四大大会制覇も暗雲 ヤニック・シナー(イタリア)は今年の全豪オープンと全米オープンの男子シングルスを制して世界ランキング1位となり、シーズン最終戦のATPファイナルズでも優勝を果たしたほか、国別対抗戦デビスカップでも母国にトロフィーをもたらした。 しかしながら、3月に行われた検査で体内から禁止薬物のクロステボールクロステボール(clostebol)が検出されていたことが発覚し、目の前の将来に暗雲が垂れ込めている。不正行為はなかったとされたにもかかわらず、世界反ドーピング機関(WADA)は、シナーに対して1~2年の出場停止処分を求めている。 女子シングルスで通算5度の四大大会(グランドスラム)制覇を誇るイガ・シフィオンテク(ポーランド)も、狭心症の治療薬トリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示して1か月の出場停止処分に服していたことが、11月下旬に明らかになった。 テニスの不正監視団体ITIAは、「選手が時差ぼけと睡眠問題のために服用していたポーランドで製造および販売されている規制された非処方薬(メラトニン)の汚染」が原因であるとの説明を受け入れた。 ■男子テニス:ナダルとマレー、現役生活に終止符 ラファエル・ナダル(スペイン、38)は計22個のグランドスラムタイトル、2個の五輪金メダル、そして4個のデビスカップを手にしたキャリアに幕を閉じた。 ライバルのノバク・ジョコビッチ(セルビア)やロジャー・フェデラー(スイス)と数々の名勝負を繰り広げたナダルだが、コート内外における謙虚さでも称賛された。 2013年のウィンブルドン選手権で英国勢として77年ぶりに男子シングルス優勝を果たしたアンディ・マレー(英国、37)も、近年はけがに悩まされていた中でキャリアを終えた。しかし、今季の終わりには、2025年シーズンからジョコビッチのコーチに就任することで合意した。 ■男子ゴルフ:シェフラー、タイトル量産とトラブル 世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)は、自身2度目のマスターズ・トーナメント優勝を含め、米ツアーではタイガー・ウッズ(米国)以来の快挙となる年間7勝を記録すると、パリ五輪でも金メダルを獲得する素晴らしいシーズンを過ごした。 しかし、この一年で最も注目を集めたのは、5月に行われた第106回全米プロゴルフ選手権の2日目を前にコース近くで身柄を拘束され、軽犯罪や警官への暴行容疑で訴追されたときだった。シェフラーは事件について「大きな誤解」だと主張し、釈放されて2ラウンド目のティーオフにも間に合った。訴追に関しても、すべて2週間以内に取り下げられた。 ■サッカー:クロップ監督、リバプールに別れ ドイツ人指揮官のユルゲン・クロップ氏は、1月に「エネルギーが尽きた」として2023-24シーズン限りでリバプールを去ると発表し、サッカー界を驚かせた。 2015年10月にリバプールの監督に就任すると、2019-20シーズンにはクラブにとって30年ぶりのリーグ優勝をもたらしたほか、2018-19シーズンの欧州チャンピオンズリーグ制覇を含む計7個の主要トロフィーを獲得。また、FAカップと2個のフットボールリーグカップも手にした。 ■自転車ロードレース:ポガチャル、3冠達成で史上最高のシーズン達成 タデイ・ポガチャル(スロベニア)はツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアの優勝に加えて世界選手権も制し、1987年のステファン・ロシュ以来となる3冠を達成した。 ワンデークラシックのモニュメントでも、リエージュ~バストーニュ~リエージュ制覇とイル・ロンバルディア4連覇を果たすなどし、計25勝を記録した。 ■サッカー:スペインがユーロ2024で栄冠 ルイス・デ・ラ・フエンテ監督が率いるスペインは、若手が躍動して歴代最多4度目の欧州選手権制覇を果たし、盛り上がりに欠けた大会に唯一の光をともした。 中でもチームをけん引したのは、フランスに勝利した準決勝でカーブをかけた見事なミドルシュートで大会最年少ゴールを決めた16歳のラミネ・ヤマル、そして世界最優秀選手賞「バロンドール」を受賞したロドリだった。 ■陸上:走り高跳びの女王マフチク、37年ぶりの世界新樹立 7月に行われたダイヤモンドリーグ第8戦の仏パリ大会で、ヤロスラワ・マフチク(ウクライナ)は2メートル10の跳躍で37年ぶりに世界記録を更新すると、数週間後のパリ五輪でも金メダルに輝いた。 しかし、マフチクの思いは3年近く続いているロシアとの戦争に常に向けられており、障害を持つ孤児のために車いすの資金を提供しているほか、五輪の賞金も「自分たちの軍隊と動物保護施設に寄付した」とAFPの取材で語った。 ■陸上:チェプンゲティッチ、女子マラソン世界新記録を約2分も更新 10月に行われたシカゴ・マラソンで、30歳のルース・チェプンゲティッチ(ケニア)は2時間9分56秒の世界新記録で優勝した。 これまでの世界記録は、昨年のベルリン・マラソンでティギスト・アセファ(エチオピア)がマークした2時間11分53秒だったが、チェプンゲティッチはそれを2分近くも更新した。 ■フォーミュラワン(F1、F1世界選手権):フェルスタッペン、波乱のシーズン乗り越え偉大なドライバーの仲間入り レッドブルのマックス・フェルスタッペンはチームとともにサーキット内外での波乱と物議をかもすシーズンを送る中、史上わずか6人目の快挙となる通算4度目の年間優勝を果たした。 今季のレッドブルは、来季からフェラーリへ加入するルイス・ハミルトンの代わりに、フェルスタッペンがメルセデスAMGへ移籍するとの臆測が流れた。シーズン前には、チーム代表のクリスチャン・ホーナー氏が同僚女性への不適切行為で非難される騒動もあった。開幕戦のバーレーンGPを前にホーナー氏の無実は証明されたものの、このサーキット外のスキャンダルは数週間にわたって尾を引いた。 ■女子ゴルフ:ネリー・コルダ、年間7勝の天下無双 世界ランキング1位のネリー・コルダ(米国)は2024年シーズンに米女子ツアーで計7勝を挙げ、26歳にしてキャリア通算15勝目とした。 コルダのトロフィー量産は、1月に故郷フロリダ州ブラデントンで開催されたLPGAドライブオン選手権から始まり、ファーヒルズ朴セリ選手権、フォード選手権、Tモバイル・マッチプレー、2度目のメジャー制覇となったシェブロン選手権、そしてみずほアメリカズ・オープンまで6大会連続で続いた。そして11月には、ザ・アニカ・ドリブン・バイ・ゲインブリッジ・アット・ペリカンで今季7勝目を飾った。 ■米大リーグ(MLB):大谷翔平、歴史的シーズン刻みワールドシリーズ制覇に貢献 昨年12月に史上最高金額(当時)の10年総額7億ドル(約1050億円)の契約でロサンゼルス・ドジャースに加入した大谷は、MLB史上初のシーズン「50本塁打、50盗塁」を達成し、2年連続でリーグ最優秀選手(MVP)にも選出された。 ニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズ(7回戦制)では、チームの原動力としてタイトル獲得に貢献した。【翻訳編集】 AFPBB News