金正恩委員長、プーチン大統領（右）

ロシアが北朝鮮と締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」（朝ロ協力条約）を２４日に批准し、北朝鮮も近くこの条約の批准を公式化するとみられる。事実上の同盟関係を規定した条約が発効すれば、双方は派兵など不法な行為を正当化し、さらに加速させていく可能性が高い。 ２４日のタス通信、ロイター通信などによると、ロシア下院はこの日、北朝鮮と締結した朝ロ協力条約を批准した。スルツキー下院国際問題委員長は「下院本会議で条約を審議し、全会一致で可決した」と明らかにした。この条約は６月１９日にロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の平壌（ピョンヤン）首脳会談で締結された。プーチン大統領は１４日に条約批准案を下院に提出した。 ウォロジン下院議長は今回の合意について「両国関係発展の結果」と評価した。ウォロジン議長は「北朝鮮は最も難しい状況で常にロシアを支援する立場を見せてきた」とし「特別軍事作戦期間にクリミア半島への進入、ルハンシク（ルガンスク）、ドネツク、ヘルソン、ザポロージャ地域に対する決定を支持した」と説明した。ルデンコ外務次官も条約は「第３国の安保を侵害するのではなく、全面的に防御的な性格を帯びている」と説明した。 北朝鮮の場合、７、８日に最高人民会議を開催したが、批准に関する報道はない。ただ、北朝鮮の社会主義憲法は国務委員長（金正恩）が他国と結んだ重要条約を批准または破棄できるよう規定していて、関連手続きは事実上要式行為にすぎない。一部では金正恩委員長がロシアと「歩調を合わせる」目的で最高人民会議で批准を完了しながらも公開時期を見計らっているという見方もある。 この条約は批准書が交換された日から効力を持つと規定している。近く外交チャンネルを通じて交換が行われる可能性が高いとみられる。 双方は条約批准を根拠に一歩遅れて派兵を正当化する作業を本格化すると予想される。この条約の第４条は「双方のどちらか一方が個別的国家または複数の国から武力侵攻を受けて戦争状態に直面する場合、他方は国連憲章第５１条と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）とロシア連邦の法に準じて遅滞なく（ｗｉｔｈｏｕｔ　ｄｅｌａｙ）自国が保有するあらゆる手段（ｗｉｔｈ　ａｌｌ　ｍｅａｎｓ　ｉｎ　ｉｔｓ　ｐｏｓｓｅｓｓｉｏｎ）軍事的およびその他援助を提供する（ｓｈａｌｌ　ｐｒｏｖｉｄｅ）」と規定している。 すでに行われた派兵も該当条項を根拠にしたとみられる。双方は現在、派兵事実自体を否認したり隠したりしているが、条約が発効すれば条約に基づく軍事援助を提供したと主張する可能性がある。ウクライナのロシア本土攻撃をロシアが「武力侵攻」を受けたと主張する可能性がある。 双方が今回の条約批准を根拠に派兵を越えて軍事協力の範囲を広げる可能性にも言及されている。特に金正恩委員長が昨年１２月から南北関係を「交戦中の２つの国家関係」と規定している状況であり、理論的にはいつでもロシアの軍事的支援を要請することができる。 また、条約は「宇宙と平和的原子力利用など科学技術分野」で交流と協力をするよう明文化した。これを名目に衛星や核の技術移転が行われる可能性があるということだ。