国内最大規模クイーポに聞く苦戦する中価格帯バッグ市場 「コーチ」以上ラグジュアリー未満に注目
WWD:厳しい話ばかりだが、ライセンスブランドは将来どうなる? 岡田:都心や主要都市では今以上に厳しくなると思うが、地方では絶対に残る。二極化が進んでおり、特に地方ではインポートバッグを買うことが難しくなっている人が増えている。インポートが高くなりすぎて中間層の離反が進んでいると聞くが、それでもラグジュアリーブランドが値下げするとは思えない。となると、新たな中価格帯バッグやライセンスブランドの出番。複数のブランドを取り扱う百貨店の平場には長らく、メーカーの社員が接客に立っていた。だから売り場全体での顧客管理が難しかった。こうした問題を解決できれば、地方ではまだまだライセンスブランドで戦える。
WWD:全国の百貨店で、バッグの平場が堅調なのは? 岡田:例えば東武百貨店船橋店は、ラグジュアリーに依存せず、国内のバッグメーカーによる商品をしっかり集積して実績を出している。熊本の鶴屋百貨店も同じ。百貨店ではないがバッグ売り場としては、東京デリカの各店舗は、各店の店長が裁量と責任を持っている。自分達の目で商品を選んでおり底堅い。
韓国、フランス、イタリアの
インポートブランドを相次ぎ導入
WWD:今クイーポは、ライセンスブランドのビジネスを維持しながら、海外ブランドのインポートにも挑戦している。ゆくゆくはインポートブランドが、オリジナルの「ゲンテン」、ライセンスブランドに匹敵する第3の柱になる? 岡田:そのつもりだ。まず最初に挑戦したのは、韓国発のファッションブランド「ジョセフ アンド ステイシー(JOSEPH AND STACEY)」の日本展開。韓国はこの5年でアジアのショーケースに進化した。多くの日本人が韓国ファッションを追いかけている。ただ、特徴のある韓国ブランドは少ない。そんな中プリーツとカラー、そしてメード・イン・コリアにこだわっている「ジョセフ アンド ステイシー」に興味を持った。最終的な決め手は、「ジョセフ アンド ステイシー」もプリーツバッグは一過性のトレンドと捉え、新たな商材開発に意欲的だったこと。バッグメーカーとしてのクイーポとタッグを組めると思った。 顧客を作る「ゲンテン」やライセンスブランドのビジネスではなく、浮気症なお客さまを相手に瞬発力で勝負することに挑んだ。ルミネやニュウマン、ラゾーナ川崎などの商業施設でポップアップに挑戦して、インフルエンサーとタイアップ。会社として、これまでできていなかったことに取り組んでいる。昨年4月の発売以来、予算は順調にクリアしており、百貨店からの引き合いも多い。ただ、単価は低い。常設店はコストがかかるので、もう少し様子を見る。