国内最大規模クイーポに聞く苦戦する中価格帯バッグ市場 「コーチ」以上ラグジュアリー未満に注目
WWD:そもそも委託販売が多い百貨店の平場では目利きバイヤーが育たなかった印象だが、今は売り場ごとメーカー。となると平場の改革は難しそうだ。平場がここまで衰退した理由は? 岡田:ライセンスブランドが古いのではなく、コスメとインポート・ラグジュアリーの売り場が広がったことが大きい。同じく低層階にあったバッグ売り場が追いやられてしまった。
ライセンスはマーケットインと
一粒万倍日、地方百貨店で生き残り
WWD:そんな中クイーポの場合、ライセンスブランドはどう生き残りを図っている? 岡田:徹底的なマーケットイン。データドリブンに、消費者が今欲しいものを形にしている。例えば「アナ スイ」の財布の場合、がま口とL字ファスナーで迷ったら、直前の実績が大きながま口を選ぶ。モチーフでも、売れている蝶々を選択。こうして、今求められているものを徹底的に作る体制に切り替えた。 もう一つは、一粒万倍日。2021年の春ごろ、「ゲンテン」のHPで一粒万倍日を特集したら盛り上がったのを皮切りに強く意識するようになった。今はさまざまな占い師が提案する色をあらゆるブランドで打ち出している。
WWD:ここ数年で、売れるバッグは変わってきた? 岡田:価格帯はそれほど変わっていない。商品は、コロナを経て、バックパックが一気に増えた。通勤はもちろん、デイリー使いにも便利。大きな変化は、特に地方では消費者が趣味や嗜好ではなく、実需に駆られてバッグを買うようになったこと。接客でも使用用途をお話になる買い物客が増えている。
WWD:海外ラグジュアリーでは、値上げが相次いでいる。 岡田:我々も昨春、上代を5%ほど上げた。とはいえ原材料費や人件費の上昇はカバーしきれてはいない。原価率は悪化している。加えてライセンスブランドでは、キャラクターとコラボレーションする機会が増えている。よく売れるがこの場合、私たちはライセンサーとキャラクターを管理している会社の双方にロイヤリティーを支払わなければならず、手元に残るお金はなかなか増えない。