アートとの新しい出会いの場。一般非公開の登録有形文化財で『CURATION⇆FAIR Tokyo』開催
1階~3階の地上階は、それぞれ部屋の趣きが異なるとはいえ、「住空間におけるアート」として楽しむことができる。ところが、地下への階段を下りると、それが一変する。 階段の踊り場には「昨日の死者数33 本日の来場者数33」というテキストがプリントされた紙が貼られ、何やら不穏な雰囲気に。おそるおそる地階へ到着すると、そこにはアーティスト橋下聡による言語とオブジェによって支配された地下空間が広がっている。 無造作に置かれた角材や、打ち捨てられるように置かれたオブジェの陰に記された橋下の強い言葉が迫り来るインスタレーション「暗くなる」。 そもそも一人で鑑賞していると少し怖くなるような地下空間で「顔が消えていく」、「いつかこの石が人類を打ち砕く」、「金曜日が絶滅する」などといった言葉に出会うと、足元がぐらつくような不安を覚える。それでもすべての作品を観ないと気が済まない。そんな吸引力をもつ作品群だ。古いボイラー室など、「kudan house」の最深部を見ることができるのも魅力的。 地上階に戻り、ガーデンカフェでコーヒーを片手につくづくアートの範囲の広さ、深さに思いを巡らせるのもいいだろう。途中休憩を挟みながら、作品とこの建物そのもの、そして両者が奏でるハーモニーに五感を委ね、自身も作品の一部となって展示空間に参加しつつ、ゆっくり過ごしたい。
3月9日(土)~3月11日(月)の3日間は、この会場がアートフェアとなる。作品数が増え、出展ギャラリーの主宰者やスタッフが会場に集う。この期間は、鑑賞者は展示されている作品を購入することが可能になる(一部非売作品あり)。アート購入の初心者への入り口として最適であり、アート剛者にとっても新鮮な体験となるだろう。今週末、ぜひ足を運びたい。 『CURATION⇆FAIR Tokyo』 会期:展覧会「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」2月22日~3月3日(日) アートフェア「Art Kudan」3月9日(土)~3月11日(月) 会場:kudan house 住所:東京都千代田区九段北1-15-9 BY NAOKO ANDO