アートとの新しい出会いの場。一般非公開の登録有形文化財で『CURATION⇆FAIR Tokyo』開催
会期の前半は展覧会として作品を鑑賞し、後半はアートフェアとして作品が購入できるという新しいスタイルのアートイベントが、東京千代田区にある1927年築のスペイン風洋館「kudan house」で開催。3月9日(土)~3月11日(月)の3日間は、この会場がアートフェアとなる。 【写真】スペイン風洋館の会場も必見なアート展示風景
靖国神社にほど近い、東京千代田区九段にある「kudan house」は、大正から昭和にかけて財界人として活躍した5代山口萬吉の自邸として1927年に建築された、スパニッシュ風洋式の洋館。2018年に「登録有形文化財」として登録され、現在は会員制のビジネス拠点として運営されている。通常は一般非公開のこの場で、「CURATION⇆FAIR Tokyo」が開催中だ。 会期の前半は展覧会として作品を鑑賞し、後半はアートフェアとして作品を購入することができるという試みで、開催場所も含め、来訪者に幾重にも新しい体験を提供している。
2月21日~3月3日に行われていたのは、展覧会「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」だ。古美術、近代・現代アートが展示されている。鑑賞者はエントランスで靴を脱いでスリッパに履き替え、マップを手に、地上3階、地下1階の「kudan house」を自由に観てまわることが可能。 現在の住宅環境とは異なるとはいえ、美術館やギャラリーのいわゆるホワイトキューブ(壁床天井をほぼ白に統一して装飾を排し、作品のみに集中できる空間)とは違う住空間で作品を鑑賞することが、まずもって新鮮だ。 本展をキュレーションした遠藤水城は、「一つの部屋が絵画として成立するような、あるいは部屋のなかを動くことが彫刻になるような空間づくり」を目指したという。 展示構成にアーティストの五月女哲平、動作ディレクションに振付師の神村恵+福留麻里が加わって練り上げられた展示空間では、鑑賞者もまた、作品の一部となるかのようだ。大広間やポーチ、マーブルの手すりが美しい曲線を描く階段、応接室、和室、小さな個室。すべての空間と作品、そして鑑賞者が響き合う。