母に「実家を相続して」と言われましたが、住まないと「6倍」の固定資産税がかかるんですよね? 今後も都内に住み続けるのですが、なにか“対策”はないのでしょうか?
「固定資産税が6倍に」と話題に上がる背景には、2023年の法改正で、空き家に対するルールが厳しくなったことがあります。もともと6倍になる仕組みはありましたが、今後さらに対象が増える形です。 本記事では、固定資産税が6倍になる仕組みと、「空き家」認定されないための対策を解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
固定資産税が6倍になる仕組み
固定資産税が6倍になるというのは「特定空き家」に指定された場合の話です。これは、手入れがされておらず、放置された家が対象になります。特定空き家になると、固定資産税の軽減措置がなくなるため、空き家ではない場合に比べ最大6倍もの固定資産税の負担が発生します。 図表1
政府広報オンライン 空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を! より作成
「空き家」予備軍も6倍の対象に
もともと固定資産税「6倍」の対象であった「特定空き家」に加え、2023年12月から「管理不全空き家」制度が設けられ、対象に加えられました。これにより「特定空き家」になる前段階まで対象の幅が広がる形になったのです。 図表2
国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について より筆者作成 「空き家」を放置すると、衛生的な問題のほか火災、自然災害での倒壊など、近隣住民に多大な悪影響をもたらす可能性があるため、行政の厳格な対応が進んでいるといえます。
空き家=すぐ6倍になるわけではない
しかし、空き家も個人の大事な財産です。「特定空き家」「管理不全空き家」に認定されるには慎重なプロセスが踏まれます。 ・行政による状況把握 ・行政からの状況改善指導 ・改善されない場合は「勧告」を受ける ・「勧告」=固定資産税が6倍に まずは、行政による空き家の状況把握からスタートします。担当者が見回りをした際に発見する、または、近隣住民の通報により調査の対象が選ばれます。 次に、問題がありそうな空き家については、行政から家屋の所有者へ「指導」が入ります。そして、「指導」が改善されていないと判断されれば、最終的に「勧告」を受けることになるのです。 この「勧告」を受けると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなります。ここが、固定資産税が「6倍」になるタイミングです。 ■更地にするのはどうだろう? 遠方で管理も大変だし、いっそう更地(さらち)にしてしまおうという考え方もあるでしょう。しかし更地にしてしまうと「特定空き家」同様、固定資産税の軽減措置がなくなります。 つまり、固定資産税が高くなる可能性があります。さらに解体費用も発生します。固定資産税の軽減措置を受けたいのであれば、慎重な判断が必要です。