「年収1000万円」は得?損?現在「年収600万円」なのですが、年収が上がっても手取りが大きく増えないならこのままでよいのではと思います。
目標年収を決めて仕事に励む方もいるでしょう。しかし、実際に受け取れるのは年収から社会保険料や税金を引いたあとの金額です。目標年収に達しても、手取りが予想より少ない可能性もあるため、おおよそいくら引かれるかは知っておいた方がよいでしょう。 今回は、年収600万円と年収1000万円を例に、手取り額についてご紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
年収による社会保険料や税金の差はどれくらい?
給料から引かれるものは、おもに社会保険料、所得税、住民税です。いずれも収入に応じて決められるため、年収が高いほど引かれる税金額も高くなります。特に、所得税は所得が多いほど税率も高くなる仕組みです。 今回は、以下の条件における年収600万円と年収1000万円の税額や社会保険料の差を比較しましょう。 ●40代 ●独身 ●東京都在住 ●賞与はなし ●社会保険料控除、基礎控除、給与所得控除以外の控除は考慮しない ●健康保険料と厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参照 ■年収600万円のとき 賞与なしで年収600万円の場合、月収は50万円です。月収と年収を基に年間の社会保険料を求めると、以下のようになります。 ●健康保険料(介護保険料込み):34万7400円 ●厚生年金保険料:54万9000円 ●雇用保険料:3万6000円 社会保険料を合計すると年間93万2400円(社会保険料控除)、国税庁より給与所得控除は「収入金額×20%+44万円」で求められるため164万円です。社会保険料控除と給与所得控除を年収から引いた342万7600円を計算に用います。 所得税は基礎控除48万円を引いたあとに1000円未満を切り捨てた294万7000円が課税金額です。国税庁によれば、この場合、税率が10%、控除額は9万7500円なので、所得税額は19万7200円です。 住民税は基礎控除43万円を引いた299万7600円が課税金額です。東京都の住民税額は「課税金額×10%+5000円」で求められ、30万4760円が課されます。 社会保険料や所得税、住民税を年収600万円からすべて差し引いた456万5640円が手取り額です。 ■年収1000万円のとき 賞与なしの場合、年収1000万円のときの月収は約83万3333円です。月収と年収を基にした年間の社会保険料は以下のようになります。 ●健康保険料(介護保険料込み):57万6684円 ●厚生年金保険料:71万3700円 ●雇用保険料:6万円 社会保険料の合計額は135万384円、給与所得控除は上限の195万円です。これらの控除を年収から引いた669万9616円を税金の計算に使用します。 所得税の課税金額は621万9000円です。621万9000円のときの税率は20%、控除額は42万7500円になるため、所得税は81万6300円が課されます。 住民税は626万9616円が課税金額で、「課税金額×10%+5000円」で計算すると税額は約63万1962円です。 年収1000万円から社会保険料と所得税、住民税をすべて引くと、手取り額は720万1354円になります。 年収600万円のときと比較すると、年収の差は400万円ですが、手取り額だと差は263万5714円です。年収1000万円の方が社会保険料や所得税、住民税の引かれる割合は大きいといえるでしょう。