高橋和也インタビュー 音楽と俳優、二つの道を歩みながらクセの強い役をナチュラルに記憶に残る演技で魅せる『怨泊 ONPAKU』
香港と日本のスタッフがタッグを組み、日本を舞台にしたオカルト映画を完成。それが映画『怨泊 ONPAKU』です。香港からやってきたサラが、古い民泊で、想像を絶する怪奇現象に悩まされます。やがて過去にその家で起こった凄惨な出来事が、彼女の夢に現れ襲い始めるという怪奇映画。本作は『狂覗』(2017)でブリュッセル国際ファンタスティック映画祭アジア部門グランプリを受賞した藤井秀剛監督によるオリジナル作品。 主演は三池崇史監督作『DEAD OR ALIVE FINAL』(2001)など日本映画にも出演経験のある香港の女優・ジョシー・ホー。共演には高橋和也、白川和子ほか。今回は本作で刑事を演じた高橋和也さんに、映画の話はもちろん、音楽活動や俳優業について伺います。 ・・・ ――『怨泊 ONPAKU』のようなホラー作品は、馴染みはあるのでしょうか。 この間、清水崇監督の『樹海村』(2021)でお坊さん【鷲尾良道】役を演じました。古いところだと豊島圭介監督の『怪談新耳袋 ノブヒロさん』(2006)という内山理名さんと共演したホラー作品があります。あと、ちょっとギャクっぽくなるけど『幽霊VS宇宙人』(2007)とかありますね(笑)。 でもホラー映画を観るのはちょっと苦手です。実はビックリするのが好きではなくて、あまり好んで観たりはしないです。でも、ホラー作品に出演することは好きです。撮影が面白いからね(笑)。豊島圭介監督とか、めちゃくちゃSで「口を半開きにして、目は白玉で向いてくれ」とか酷い注文ばかり言うんです(笑) 。身体を反対にへし折られて死んでいる役とか、やらされたりします。でも、有り得ないことをやっている現場はめちゃくちゃ楽しいです。 ――映像になった時に“どう映っているんだろう? ”という楽しみがありますよね。この『怨泊 ONPAKU』の撮影はどうでしたか。 この映画でも結構ありました。僕の役は刑事なので秘密をずっと探っていくのですが、人が行かないような暗いビルの地下とか、そういう変な場所ばかりに行くんです。薄暗いビルの地下で撮影を行うので本当に嫌な気分になりました。でも、一応刑事なのでそこはしっかりしないと(笑)。この映画は、出て来る人、出て来る人が皆オカシナ人で、怖い人ばかりなので‥‥。 この映画の場合、もの凄いハードスケジュールでの撮影だったので、朝方まで頑張って撮影したりもしていたんですよ。だから皆の顔がだんだんと狂気に満ちていくんです。藤井秀剛監督は、そういうキャスト陣の状況を楽しみながら撮影する監督なんだと思います。藤井監督は疲れてくればくるほど、朝方になればなるほど元気になっていく感じの人みたいで、めちゃくちゃノリノリになって「はい、行きましょう!」と言うんです。 ――それが映画にも反映されているのですね。ラストあたりとか凄いですよね。ちゃぶ台をひっくり返したような物語になっていました。高橋さんの作品選びを見ていると、インパクトの強い、嫌な役を演じられることが多い気がしています。作品選びはご自分でされているのですか。 そういうオファーももちろんあります。確かに、憎まれ役とか、精神的にちょっと破綻しているとか、クセのある人物の方が演じがいがあります。僕はゲイリー・オールドマンが凄く好きなんです。元を辿っていくとロバート・デ・ニーロやアル・パチーノとか好きですね。ただ、そればかりではなく、もう一つ別のパターンも欲しいので、凄くシュッとした男を演じたいとも思っています。