《外国人におすすめジブリTOP5》興行収入1位の『千尋』に勝ったのは収入イマイチな作品
3位は歴代ジブリで興行収入1位の作品
3位にランクインしたのは『千と千尋の神隠し』(2001年)。不思議な異世界に迷い込んだ少女が、八百万の神々やさまざまな人々と出会い、成長していく物語だ。 「日本を感じさせる風景、習慣などを外国の方に見てほしい」(神奈川県・52歳・女性)などの意見が多く寄せられたが……。 「うーん、この作品からは日本らしさはあまり感じられないかな(笑)。油屋は愛媛の道後温泉がモデルになっていますが、全体的にはアジア的な雰囲気が色濃いですよね」 なぜ千尋だけが現実世界に戻ってこられたのか、なぜ千尋は豚の集団に両親がいないと見破ることができたのか、解明されていない謎も多い。 「数々の謎について、宮崎監督はいつもはっきりとした答えを出しませんよね。映画に、必ずしも答えは必要ありません。でも、だったらせめて、見た人次第、と作り手のステートメントがあるとありがたい。そうしたら、それぞれの受け止め方でいいんだ、と観客も納得できるんですけどねぇ」 第2位は『火垂るの墓』(1988年)。太平洋戦争末期の兵庫県を舞台に、親を亡くした兄と妹が懸命に生き抜こうとする姿を描いた物語で、野坂昭如氏の同名小説を原作としている。 「戦争の恐ろしさ、それに巻き込まれた子どもたちの悲惨さを外国の人にも知ってほしい」(三重県・34歳・女性)という声が多く寄せられた。実際に、アメリカの著名な映画評論家、ロジャー・イーバート氏は「戦争映画の傑作リストに必ず加えられるべき作品」と評価もしている。 「高畑勲監督の作品は大好き。こんなふうに、戦争の悲惨さを誰が見てもわかりやすいように描いた映画はなかなかないですよね。子どもが死んでしまう悲しい物語で、高い興行収入が到底見込める作品ではないけれど、戦争体験者である高畑監督はご自分が作りたいものを純粋に形にしたのだと思います」 現に、公開当時の興行収入は約11億円。300億円以上を記録した“千と千尋”のおよそ30分の1だ。 「今ならもっと話題を集めたでしょうが、令和の時代に、こんなハイリスクのプロジェクトにゴーサインは出ないでしょうね。40年前のあの時代だからこそ実現した、名作のひとつだと思います」