工場閉鎖し人員削減…危機が深まる韓国鉄鋼業
こうした中、産業用電気料金の値上げまで重なり、炭素削減のために、再生可能エネルギー投資に乗り出した鉄鋼業界は負担がより重くなった。電気炉だけで製品を生産する東国製鋼は、電気料金が安い夜間にだけ操業し、コスト削減に取り組んでいる。 韓国鉄鋼協会によると、今年1~9月の粗鋼(溶銑)生産量は4764万トンで、2010年以降14年ぶりの低水準を記録した。工場稼働率もポスコが85%、現代製鉄が84.2%、東国製鋼は棒鋼、厚板がそれぞれ77.4%と63.8%を記録した。いずれも過去3年間で最低だ。業績も揺らいでいる。ポスコの7~9月の鉄鋼部門の営業利益は前年同期比39.8%減の4380億ウォン。現代製鉄(515億ウォン)と東国製鋼(215億ウォン)も、営業利益がそれぞれ77.4%、79.6%減少した。 ■中国に代わる市場を模索 危機の最大要因は、世界最大の鉄鋼生産国であり消費国である中国の低迷だ。建設景気をはじめとする中国の内需低迷に伴い、中国国内で過剰生産された鉄鋼が消費されず、低価格の製品が韓国に大量に流入し始めたのだ。中国政府は生産過剰を解決するため、主な鉄鋼メーカー間の合意を推進し、内需浮揚策も発表したが、まだ韓国には目立った効果がない。 さらに、トランプ米次期大統領が「米国優先主義」を掲げ、鉄鋼輸入規制を強化する可能性も高い。鉄鋼業界はトランプ政権2期目が高率の関税適用に加え、主要国に対するクオータ(輸出割当)を見直す可能性があるとみている。米国の対中制裁もさらに強まる見通しだ。 外部の不確実性が高まると、韓国の鉄鋼メーカーは中国国内の生産拠点を整理し、現金の確保に乗り出している。現代製鉄は最近、中国で重慶と北京の現地法人と資産を全て売却し、ポスコも中国のステンレス鋼生産子会社「張家港浦項不銹鋼」の売却手続きに入った。 同時に建設、自動車など鉄鋼需要が高まると予想される新興市場インドを目指している。現代製鉄は最近、インドのプネーに年産23万トンの鉄鋼サービスセンタ(SSC)を着工し、来年から本格稼働に入る計画だ。ポスコは現地鉄鋼大手JSWグループと提携し、年産500万トン規模の一貫製鉄所の建設を推進している。 朴淳燦(パク・スンチャン)記者、ソン・ユジン記者