早稲田vs慶応、女子学生割合が高いのは? 主要30大学ランキング
大学の「女子率」を左右する要因は?
30大学の女子率トップは上智大学で62.44%。次いで立教大学(58.36%)、関西学院大学(50.37%)、青山学院大学(50.20%)と続く。この4大学の学部は半数超が女子学生である。いずれも語学系、国際系の学部が強く、女子学生が集まる要因になっている。 女子学生のほうが多い4大学からやや引き離されて続くのが、同志社、関西、東洋、甲南、法政の4大学で、40%台前半だ。 先ほど挙げた早慶戦は3ポイント未満の僅差だったが、この早慶の間に5大学が入り込んで塊を形成している。便宜上、小数第2位まで算出して並べているものの、数人増えればひっくり返る混戦状態にある。 国立大学は全般的に女子率は低め。東京理科大学、東京工業大学もイメージ通り低い。このことから、大学の女子率を左右する要因として、学生総数に占める理系学部の学生数、すなわち理系の定員が多いかどうか、多ければ女子率が下がるという構図が浮かぶ。 文理融合系の学部が増えているため、理系学生割合を出すのも容易ではないが、文系を自認する人はあまり進学しないであろう学部を理系学部として、その在籍者数の割合と大学の女子率をマッピングすると、理系率の高低は女子率に一定程度影響していそうだ。 では、理系特化の東京理科大学と東京工業大学で女子率に12ポイント超の差が付くのはなぜか。 これは理工系の中でも工学系は理学系と比べてより女子学生が集まりにくい傾向があるためだ。理工系といっても、医学、農学の女子率は4割前後、薬学部は過半数を占める。 一方、工学系は2割を切る。「リケジョを増やそう」といっても、専攻でこれだけ温度差があるのだ。 毎年3000人超が入学する東京大学は、文科1~3類、理科1~3類の類別に入試を行うが、人数は均等ではない。多くが医学部に進学する理3は100人と少ない一方で、多くが工学部に進む理1は1100人超と飛び抜けて多い。東大入学者の4割近くが理1で、後期課程全10学部のうち工学部の学生数は3割に上る。 理工系の定員、特に工学系の定員が多い大学は女子率が下がりやすい。これは個別の大学の問題というより、現状、そういう構造になっているということだ。 いずれにしても、同質人材ばかりの環境からはイノベーションが生まれにくく、ジェンダーバランスを改善するため各大学は対策に取り組んでいる。ただ、入試時点での“受験しやすさ”はどれだけ改善につながるだろうか? ちなみに、筆者の息子が中学校の部活動で所属しているロボット部は、部員38人で女子は5人だという。率にして13%。東工大の女子率と同じである。 面白そうに思った部活に自由に入れる中学1年の春時点で既に大きな男女差がある。人の興味関心は5年後の高3になって急に変わるものではない。目先の女子率を高めたいなら、理工枠を減らすのが一つの手だが、それでは本末転倒だ。リケジョ増、特に工学女子増を目指すなら、初等・中等教育の段階から相当なてこ入れが必要になるだろう。
小林 直樹