日本の水道水は大丈夫?煮沸消毒しても除去されない化学物質「PFAS」が“やっかい”な3つの理由
有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」をめぐり、国は、全国の水道事業者などに水質検査の結果などを9月末までに報告するように要請しました。果たして、日本の水道水は大丈夫なのでしょうか?京都大学・原田浩二准教授への取材などをもとに“PFASとは何か”をまとめました。 【画像を見る】PFAS摂取で懸念される健康への影響は?
自然界に存在しない物質『PFAS』 関連が否定できない影響「出生時の体重低下」「コレステロール値上昇」
まず、PFASとは「有機フッ素化合物」の総称です。少なくとも4700種類以上存在していて、多ければ1万種類以上あると言われています。 PFASという名称は、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の略称です。このPFASは自然界に存在しない物質で、人間が作り出したものです。例えば、フライパンの表面をこびりつきにくくするフッ素加工や、レインコートの撥水加工、スキー用のワックスなどに使われています。 全てのPFASが体に悪いと確定したわけではありませんが、『PFOS(ピーフォス)』と『PFOA(ピーフォア)』の2種類については、国際条約で製造・輸入が禁止されています。これ以外のPFASについては、まだ分からないことも多いということです。徐々に規制が進むPFASですが、地下水や土壌などには残っているとされます。 今年6月、内閣府の食品安全委員会は、健康への影響に関する評価を公表。「出生時の体重低下」「ワクチン接種後の抗体低下」「コレステロール値の上昇」などの影響は関連が否定できないとしています。なお、今回は日本独自のリスク評価を断念し、2016年のアメリカにおいて動物で検証した結果をもとに評価を行ったということです。
「分解されにくい」「体内に蓄積されやすい」「遠くまで移動する」
PFASの摂取によって急性症状が出ることはないということですが、“やっかい”な点が3つあります。 (1)分解されにくい PFASが自然界(土壌・水)で半減するまで50年以上かかると言われています。分解されにくいことから、PFASは『フォーエバー・ケミカル』=『永遠に残る化学物質』と呼ばれることもあります。同じように自然界から消えにくいとして使用禁止になった『ポリ塩化ビフェニル』(絶縁体などに使用された)は10~20年で半減すると言われています。 (2)体内に蓄積されやすい PFASが体内から排出され半減する期間は3~5年と言われています。また、妊婦から胎児へ、へその緒を通して約3割の濃度で伝わってしまうことも確認されているということです。 (3)遠くまで移動する 水に溶けやすく海から広がり、魚介類から検出されることもあるということです。さらに、ガス状になり空気に乗って遠くまで広がるということです。 ヨーロッパではPFAS全体を規制する流れになっています。