日本の水道水は大丈夫?煮沸消毒しても除去されない化学物質「PFAS」が“やっかい”な3つの理由
水道水は大丈夫?日本の基準は「25mプールに塩150粒」
では、日本の水道水は大丈夫なのでしょうか。PFOSとPFOAに関して、毎日摂取しても健康への影響がないと推定される1日の量は、体重1kgあたり20ナノグラムということです。体重60kgの人であれば、1200ナノグラムです。 PFOS・PFOAの摂取量が最も多くなる可能性が高い飲料水については、各国が基準値を出しています。日本は「水1リットルあたり50ナノグラム」(暫定目標値・PFOSとPFOAの合計)。この量を毎日摂取しても健康には影響がないだろうという数字です。一方、ドイツ(2028年から)ではPFOS・PFOAなどの合計が1リットルあたり20ナノグラム、アメリカ(今年4月決定)はPFOS・PFOAそれぞれ1リットルあたり4ナノグラム。考え方の違いなどにもよりますが、海外では日本に比べて厳しい基準が設けられています。 ちなみに、1ナノグラム=10億分の1gです。日本の基準「1リットルあたり50ナノグラム」というのは、イメージすると、小学校の25mプールに塩を150粒入れたほどの量。ただ、その程度の量を超えた量を体内に摂取するのは良くないと言われているのです。
大阪府内の浄水場は日本の基準をクリア
環境省や国交省は全国の水道事業者に対し、今秋までにPFASの検査状況を報告するよう要請しました。これまでも、大きな浄水場などでは独自に検査をし、公表しています。自治体の水道局のHPなどで確認が可能です。大阪府内の浄水場におけるPFOS・PFOAの検出状況を調べると、昨年度は1リットルあたり10ナノグラム前後(1年間の平均値)となっていて、日本の基準はクリアしています。
水道水を「煮沸」しても除去されないPFAS
では、PFASについて、私たちができることはあるのでしょうか。ミネラルウォーターは、メーカー各社にPFAS含有量の公表義務がないため、正確には分かりません。ただ、各メーカーが利用する水源地から推測すると、おそらく基準値はクリアしているだろうと専門家は分析しています。 水道水については、京都大学の原田浩二准教授によりますと、煮沸消毒してもPFASは除去されないということです。活性炭を使っている浄水器はPFASを7~8割以上除去するということです。 今後、PFASへの規制が厳しくなることも予想されますが、撥水加工・フッ素加工に代わるものが開発されるのかどうか。また、地球全体の環境を考えたとき、PFASを使用した製品を使うべきかどうか、そういったことを考える時期にきているのかもしれません。 (2024年7月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)