マスコミがほとんど報じない「維新代表選」の実態 “大阪主導”に「東京組」不満、万博も重荷に
そもそも維新は、今回衆院選で「野党第1党の獲得」を大目標に掲げ、小選挙区は前回衆院選の1・7倍にあたる163人を擁立した。それだけに、吉村氏は敗北直後から「結党以来最大の党存亡の危機」として、馬場氏ら党執行部の責任を厳しく追及。これに対し、続投に強い意欲を示していた馬場氏も、吉村氏らの「辞任要求」に抗しきれず、藤田文武幹事長(43)と共に退任表明に追い込まれたのが実状だ。 なかでも、選挙戦で馬場氏ら党執行部に対する大きな打撃となったのが、「裏金議員の筆頭格」とされた萩生田光一元自民党政調会長が出馬した東京24区で、党創業者で前維新代表の松井氏が萩生田氏の応援演説に駆け付けたことだ。同区には維新が候補者を擁立していただけに、党内からは「裏金の象徴みたいな萩生田氏の応援はあり得ない」との声が噴出した。
これに対し松井氏は、「萩生田氏とは20年来の友人。反省してやり直すと言うので応援した」と釈明したが、維新内部からは「馬場氏の統率力のなさの象徴」との厳しい指摘が相次ぎ、結果的に代表辞任の要因の一つになったことは否定できない。こうした経緯もあってか、選挙を受けた代表選実施の可否を巡る国会議員や首長、地方議員らのインターネット投票も、投票総数768票のうち賛成696票、反対56票と圧倒的大差となった。
■「反自民」か「親自民」かで溝の深さ表面化 そうした中、17日に告示された代表選では、馬場代表ら現執行部が進めてきた政府・与党との「協調路線」や、看板政策の「身を切る改革」の可否を巡って、4人の候補者が活発な議論を展開している。 代表選に際し党本部で行われた4候補の合同記者会見で、吉村氏は「自公政権ときちんと対峙(たいじ)していく」などと政府・与党との対決姿勢を鮮明にした。2022年に代表となった馬場氏は「第2自民党でいい」などと主張して与党に接近し、前通常国会では、政治資金規正法改正を巡り「自民に取り込まれた格好」(維新若手)となったことが、衆院選敗北の大きな要因になったとみられていることを念頭に置いた発言だ。