資産8億円のかんちさんが高配当&優待株を勧める理由
資産約8億円・年間配当金2000万円超の実績を持つ専業投資家のかんちさん。元消防士(公務員)で13年前、49歳のときに早期退職。それからは生活費のすべてを株の配当金・株主優待でまかなう生活を送っています。 2024年5月には「 ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門 」(ダイヤモンド社)を上梓されました。資産拡大の経緯や、具体的な銘柄の探し方など、これまでの投資ノウハウを余すことなく記しています。 今回は、本の内容を含めたかんちさんの投資法や、「会社四季報」の活用法、2025年の注目テーマなどについてお話しします。 ■ほったらかしで資産を増やす 私が投資を始めたのは約40年前、1980年代でした。2011年までに資産が1.8億円となり、長年務めてきた消防士を早期退職。その後2024年には資産8億円まで資産が拡大しました。 ポートフォリオは高配当株が半分、株主優待株3割、成長株2割程度です。一番心地がいいのは、高配当かつ成長性の高い銘柄です。安定した業績で配当利回りが高ければ、株価が大きく上がらなくてもストレスを感じにくいためです。銘柄を頻繁に入れ替える労力はいらず、難しい財務指標をすべて読み込む必要もありません。 早期退職後の今でも、一日中相場に張り付くような投資手法は取っていません。午前中に1時間相場がどうなったか確認し、夜8時頃に適時開示を手短に見て、空き時間にX(旧Twitter)などで気になるニュースを見る程度です。それ以外の時間はジムに行ったり、趣味に没頭したりとゆっくり過ごしています。 ほかの投資本では、じっくり企業を調べたうえで集中投資する、というスタイルが多い印象ですが、私の「 ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門 」(ダイヤモンド社)では、それほど労力をかけなくとも堅実に資産を築ける方法をお伝えしています。本業が忙しい会社員の方などにも是非お勧めしたいです。 インフレで貨幣価値が下がっていくことを考えると、株式投資を始めるのは早ければ早いほどいいと思います。ただ大きな失敗をして市場から退場するのを避ける必要がありますから、分散投資を行いながら、配当でしっかりと資産を拡大することが重要です。 ■紙の「会社四季報」を使うメリット 銘柄を選ぶ際には、基本的に配当利回り3.5%以上、業績が増収増益トレンドかをまずチェックします。そこからPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標をもとに、割高な銘柄を除外するなどで選択肢を絞っていきます。 会社の業績を細かく予想する方もいらっしゃいますが、私は実績しか見ていません。過去10年間の売上高や利益の推移を見て、パッと見た感じで右肩上がりになっていれば投資の候補に入れるくらいで十分です。 こうした基準を踏まえたうえで、業種がなるべく偏らないように分散を意識しています。たとえば、自動車の輸出をしている企業と、輸入をしている企業、両方を買っておくなどです。 3カ月ごとに発売される「会社四季報」も愛読しています。配当利回りランキングなどを見ると、連続配当銘柄を簡単に確認できます。5年、10年と増配を続けている銘柄は基本的に減配などで悪くなる可能性が低いため、安心感があります。 紙媒体ならではの使い方もしていて、自分が持っている銘柄の中で来期増配予想の会社は、上の方に付箋を貼っています。真ん中は横ばいで、下が減配という感じに分けているんです。付箋が上についている銘柄が多いときは、全体の経済状況がいいという見方もできます。 2006年から毎年、5月発売の夏号はすべて保管してあります。次の年の業績予想が更新される(3月期決算企業の配当予想が新たに一年分公開される)ので、配当の推移がよくわかるためです。 ■株主優待で生活コストを下げる 優待株も重視しています。一番の魅力は、生活コストが下がり入金力が高まることです。私は以前、地方公務員(消防士)でそこまで収入が多くなかったので、節約の重要性を身に染みて実感しています。個人投資家を優遇して1単元の保有が一番利回りが高いということが多いため、これを資産形成に使わない手はありません。 たとえば、外食に年間30万円使う家庭があったとして、すかいらーくホールディングス(3197)や日本マクドナルドホールディングス(2702)などの優待を活用すれば、かなり節約ができます。同様にイオン(8267)などのスーパーマーケットや、エディオン(2730)などの家電量販店といった具合で優待株を増やしていくのがお勧めです。 優待目的で買った銘柄が大きく成長するケースもあります。一つ例を挙げると、中部地盤の物語コーポレーション(3097)が展開する飲食店「焼肉きんぐ」は、いつ行っても待ち時間があり、食べてみると実際とても美味しかった。そこから店舗網が急激に拡大し、株価も大きく上昇していきました。 飲食関連は地元から始まって、全国に広がると売り上げや利益も同様に伸びていきます。すると時価総額50億円くらいで上場した企業が、500億円程度になる場合もあります。自分の地元の企業ではやっている飲食店の株を買い、優待を使っていたらいつの間にか株価が数倍になっていたというのが、理想的ではありますね。 ■2025年の注目テーマは? 今年はトランプ政権下で関税のリスクがあると見られている自動車関連に注目しています。ホンダ(7267)やマツダ(7261)、自動車部品などで、割安感がある銘柄は拾っておきたいと思います。 リスクはもちろんあるのですが、一方で今後は業界再編などプラスの影響もあると考えています。ホンダと日産自動車(7201)、そして三菱自動車(7211)も含めた統合がもし成立すれば、一気に生産効率が上がっていくでしょう。やや逆張り気味ですが、面白みのある業界だと思います。 また、今後数年で金利が上昇することを考えると、銀行など金融関連も候補になります。配当利回りも3~4%台の企業が多いですし、期待しています。 (構成:伊藤退助) 四季報オンラインのお申し込みはこちら ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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