阪神が警戒すべきは反対方向のドームアーチ
特に里崎氏が警戒を呼びかけるのが反対方向へのアーチ。 「まだ引っ張られてのホームランはいいんです。対処法はいくらでもあります。ある意味、そういう本塁打なら痛くもかゆくもありません。これが反対方向におっつけられて打たれるとキャッチャーがパニックに陥るんです。阿部、長野に反対方向に打たれたら最後です」 なぜ反対方向に打たれると危険信号なのか。 「インコースを攻めなきゃという脅迫観念が生まれてしまいます。すると、そこにミスが生まれ、内側に甘く入ったボールをやられたりします。どんどん後手を踏むことになるんですよね。相手にインサイドを意識してもらっているうちは、外にいっとけばなんとかなるんですが、逆にバッテリーがインサイドを意識するようになると後手なんです」 つまり配球の読み合戦で負のスパイラルが発生してしまう。それこそが東京ドームの魔力なのである。阪神ファンは、逆方向のホームランを巨人打線に許したら、形勢はかなり不利になると考えておいたほうがいいのかもしれない。 元阪神のチーフスコアラーでCS、日本シリーズなどの短期決戦も経験している三宅博氏は、「ホームランや東京ドームであることを意識してはダメなんです」という。 「私はドームで試合をする場合、“低め”をキーワードにミーティングしましたが、“飛ぶぞ”ということをインプットさせてはダメなんです。逆に作用します。それと短期決戦ではデータは、そう関係ないんです。それよりも勢いや積極性がゲーム左右します。とにかくデータより調子を優先させること。逆に言えば、試合間隔が空いている巨人を勢いに乗せないこと。菅野がいませんし、私は阪神の勝ち抜ける可能性は5分5分だと見ているのですが」 阪神にとっては、大きな障害となる東京ドーム。そういう地の利こそが優勝チームのアドバンテージなのである。