シドニーのペントハウス93億円、有望顧客消え値引き-Open House
米国人俳優マーク・ウォールバーグさんはこのタワーに部屋を借りており、歌手テイラー・スウィフトさんは今年のシドニー公演で、タワー内のホテルでプレジデンシャル・スイート(1泊約4万豪ドル)に宿泊した。
中国人の変化
メルボルンのディーキン大学ビジネススクールで不動産を研究するチエン・リー准教授は「中国人はなお高価で素晴らしい物件を買うかもしれないが、必ずしもそれを人に知られたくない。こうした目立つ買い物をすると、知られずにいるのはますます難しくなる」と指摘する。
中国人の購買パターンの変化は、香港やロンドンといった都市の高級物件でも見られる。ただ、豪州ではそれが対中関係の大幅な悪化と重なった。
ここ数カ月に関係は緩和してきたが、習政権の下で資産の運用に制限を課されている中国の富裕層が、新たな関心を抱くきっかけにはなりそうにない。
トゥ氏は「われわれはなお中国系の買い手と取引があるが、彼らは既にここに住んでいる。中国のパスポート(旅券)を持っているとは限らない」と語る。
とはいえ、トゥ氏は買い手が見つかると確信している。今週には売り込みをかけるためロサンゼルスを訪れた。同氏は昨年、豪州でトップ10に入る物件の2つを売却した実績もある。今回の物件に関し、豪州だけでなく、カンボジアやベトナム、シンガポールといった東南アジアの国からも初期段階の関心が示されていると述べた。
「品質、眺望、立地、どれをとってもこれほどのものはない」と物件案内の際に話した。
ぜいたくな設備、シドニーで最も高層の建物にあるペントハウスという知名度、好立地はセールスポイントだ。
テラス、ジム、ワインセラー、室内エレベーター、4台分の専用ガレージがある。住人は24時間コンシェルジュを利用できるほか、「NOBU」などホテル内の14のバー・レストランでVIP待遇を受けられる。管理費は1四半期当たり6万5000豪ドルだ。
英国の建築家、故クリス・ウィルキンソン氏が設計したこの建物は2020年に、豪州の建築物として初めて、世界的なエンポリス・スカイスクレイパー賞を獲得した。ダーリングハーバーから徒歩でわずか10分の場所にあり、市内中心部に近い。